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西海Freak story

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美しい海☀🌊新鮮な魚🐟🍴見てよし、食べてよし! 五感で感じて、愉しめる短編集をお届けいたします🙇さぁ皆様。ようこそ、西海市へ😀
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記事一覧

西海Freak Story④ 「趣味嗜好」

西海Freak Story④ 「趣味嗜好」

「お母さんテントは?」

僕は、拾ったペグ打ちに丁度良さげな岩石を右手に持ちながら言った。

「えぇ・・・うそぉ。お父さんからLINEで来た準備リストを何度も見て確認したのに」

お母さんは、車のトランクに両膝をつきガサゴソと何度も見ていた。トランクにあるボックスの中には、メスティンと鮮やかな色をした赤青黄の家族分のマグカップ。おまけにお父さんが特別な時に飲んでいるという、瓶詰のハワイアンコーヒー

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西海Freak Story③ 「西海橋」

西海Freak Story③ 「西海橋」

橋の袂から海面に落ちる手のひらサイズの葉っぱを見ていた。

ひらひら。ゆらゆら。

ふさわしい畳語(じょうご)を考えている間にも、その葉っぱは海面についた。そして次の瞬間、渦潮に飲み込まれた。

ゴォォォー

飲み込まれた葉っぱを再び吐き出す事は無い。それどころか、まだ食べ足りないと言わんばかりにヤツ等は唸っている。荒々しい渦潮がグルグルと。気が付けば所々で渦を巻いていた。
このウネウネとした躍動

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西海Freak Story②「大島大橋」

西海Freak Story②「大島大橋」

 200メートル程度の短いトンネルを抜けると、心地よい南の風(はえのかぜ)が出迎えてくれる。  
通勤中の佐々木は、物憂げな気持ちを紛らわす為に車の窓を少しだけ開けた。そして、その風を肌で感じながら車を走らせた。

中途採用として、この島にある造船所で働く。今日がその初日である。
   
 緩やかなカーブを過ぎて直線に差し掛かると、立派な白い橋梁が姿を現した。二体の巨人がつり橋を引っ張り上げている

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西海Freak Story① 「西海市大島町」

西海Freak Story① 「西海市大島町」

  日本列島に照準を合わせる。次にスワイプをして九州を目指す。最後に、親指と人差し指を使い長崎県をピンチアウトすると見えてきた。大島は長崎県西海市にある北緯33度線に位置する島である。

 大島の北方向には佐世保市があり、西海国立公園に指定されている九十九島というリアス式海岸に広がる島々が一望できる。九十九といっても実際には、208もの島々が連なる風光明媚な景勝地だ。

 続いて南方向には、今にも

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