千早 茜「しろがねの葉」感想~ヨキの登場に善児ー!(鎌倉殿の13人)と叫ぶわたし
毎週、楽しみに観てる「鎌倉殿の13人」も佳境に差し掛かってきました。
観てるみなさん。お気に入りの登場人物がいたら教えてください。
私は、仕える主人に与えられた役割(←主に殺し)を、
表情を変えず「へえ」の一言で黙々と遂げていく善児(梶原善)。
最後は悲しき暗殺者とし退場し寂しかったけど、善児にも好いてくれる者ができ、愛おしさという感情を知ることができよかった。
ホントよかったと、涙しました。
最近は、これまた寂しき男である実朝くんがお気に入りなってましが、
本書を読み、このキャラは善児じゃない?
ヨキ見っけ!
海の向こうから奴隷としてやってきた刺青を入れた男、ヨキ。
主人である喜兵衛に仕え、表情を変えずに与えられた役割を遂げる男。
ヨキの登場に善児ー!キターーー(♡∀♡)ーーー!!!と叫ぶわたしがいました。
本書は千早さん初、時代小説です。
死にたいと望むことは生きたいと同義なのかもしれない...本当だね。
大切な人をうしなっても過酷な銀(しろがね)の山で生き抜いたウメの一生を見届けそう感じましたよ。
400年ほど前の石見銀山を舞台に、夜逃げして親とはぐれたウメという少女が銀山で喜兵衛に拾われる。
夜目の利くウメは、真っ暗の間歩を怖がらずに山に入る。
だが坑道は男の職場。
目も勘も鋭いウメは、「おなごじゃなければよかったな」と言われることが、悔しい、悔しい、大きくなって強くなりたいと、誰よりも願う。
だが、大きくなってもおまえは女じゃ。
女はどうやっても力じゃ男に劣る。
やがて…力で劣ることを思い知らされる悲しい出来事が起き、
山を下り町で暮らすようになるウメ...。
闇(坑道)に長いこと潜れば、石粉を吸うて肺を病み、命を奪われる...。
男たちの寿命は短い。
だから銀山のおなごは三たび夫を持つと言われている。
ウメに関係する男たち。
・山で生きる術を教えてくれた喜兵衛。
・共に成長し影響し合った隼人。
・異人の血をひく浅葱色の眼をした弟分の龍。
人間の業、男の業、女の業...。
千早さんは、「業」というものを描くのが以前からお上手だと思っていましたが、本書は凄みがある上手さです。
だからウメだけでない登場人物たちも生きていると感じられるのです。
赤い血で、怒りを、悲しみを、愛を、感じるのです。
ヨキはもちろん、おとよさんも、夕鶴も...。
静かな美しい描写なのに燃えるような熱さは、
まさに赫然たる光を感じる作品でした。
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