「あのころはフリードリヒがいた」は役に立つのか
小学生向けの文章を書きなさいという仕事があった。ノウハウがわからない。子供向けってなんだろう?
大人と子供、なにか決定的にメッセージに違いなんてあるのかしら。
読書をしていて読み手を侮っているな、と思う本がある。嫌な気持ちになる。
そもそも本を読んでいて内容がわからないことなんて大人でもめちゃくちゃある。ありすぎる。
体験として、大昔読んで「わっかんねー」となった本が、歳を重ねて少しでも理解できるた時のホクホク感、あれ良いよね、おおっ、みたいな。
あのころはフリードリヒがいた
岩波少年文庫、対象年齢は中学生くらい。
ひさしぶりに読んだ。読み終わったあとため息しか出ないほど辛い話だ。特にラストの1ページの救いのなさ、非人道性は呆れと怒りが同居する。
しかし現実に、フリードリヒ一家のような運命を辿ったユダヤ人は何百万といたわけで、この本に感じる痛みや嫌悪感はリアルなものとして捉えて、さしつかえない。
児童文学というジャンルにあるが、容赦がない。手加減ぬきに骨のメッセージを伝えようとしている。
この本はドイツの教育の現場で必ず教えられるとのこと。それを知るとちょっと背筋が正される気もしたり。
本屋さんにある児童文学のコーナーをこの機会に眺めていたら、集めてしまいそうな魔力があった。部屋がせまいから集めないけどね。
3つ部屋が欲しい。