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夢で見た世界のはなし
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記事一覧

夢の夫

 バーチャルだ。  そう思いながら調理器具の並んだ厨房を眺める。  大小様々な鍋とボウル、…

桶狭間
1年前

夜の宴

 宴は日が沈んでから始まる。    村の住民たちは厳かな雰囲気の会堂に集められ、静かに座っ…

桶狭間
5年前
3

Cupid

 レンたちが神の間から飛ぶと、人の世界の青い空が視界に入ってきた。  ガラス張りの窓の高…

桶狭間
5年前
6

(ラ)

 長かった撮影も、ようやく最終日を迎えた。  川で泥まみれになった小林氏の顔はやり切った…

桶狭間
5年前
5

 「ほら、あそこの母娘のとこさ。」  事務所では町に現れる熊の話題で持ちきりだった。  …

桶狭間
5年前
2

海食崖

 海沿いの切り立った崖には、車が一台通れるほどの道がへばりついている。管理所を通ってその…

桶狭間
5年前
5

パスポート

 木造の建屋の前に、長い列ができていた。どうやらパスポートを申請する人たちのようだった。  「パスポートかぁ。あったら何かに使えるかも。申請してみようかな。」  軽い気持ちで列に並ぶ。  行儀のよい列が少し前に進むと、ちぎれたネックレスのビーズのように何人かが散らばって帰っていく。  気づいたら自分の番になっていた。  「あなたの担当エリアはここよ。電話して、どういう手順を踏むか聞いたら次の窓口に行って頂戴。」  ふくよかな窓口の女性に一枚のプリントを渡された。  プリン

トウソウ

 アカは自転車の荷台に手を括り付けられて、前かがみに歩いていた。  自転車を押しているの…

桶狭間
5年前
5

 乾いた風が、シーツにまとわりつく塩気を払っていく。  青空がまぶしく、砂浜は白い。  波…

桶狭間
5年前
4

謝肉祭

 人気のない校舎で息を殺してあたりを窺う。  幸い、近くにあいつらの気配はない。    今…

桶狭間
5年前
3

祖父のお仕事 3

 通路は細長く、静かだ。さっきまで町の喧騒に包まれていたのに、今は大家の足音だけがカツカ…

桶狭間
5年前
3

祖父のお仕事 2

 「それが祖父の鍵、ですか?」  大家は顔の前に鍵を掲げて、じっとその形を眺めている。  …

桶狭間
5年前
1

祖父のお仕事 1

 あかりは亡くなった祖父の部屋の、どうしてもあかない小さなドアの鍵を探すことにした。  …

桶狭間
5年前
2

狐の案内

 薄暗い林の中に分け入っていくと、木々の影から女たちの楽しそうな声が聞こえてきた。  誰もがゆったりとした着物を着て、狐の面をつけている。珍しそうにこちらをちらっと見はするが、またすぐおしゃべりに戻る。  そのうち誰かが、「こっちだよ」と声をかけてくれた。  自分がどこに行こうとしているのかは分からなかったけれど、とにかくその声を頼って先へ進むと、大きな大きな檜葉の前へ出た。檜葉には人が余裕で通れるほどの洞が口をあけていて、声の主はその中へ降りて行ったようだった。  はぐれ