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読書メモ:悪文の構造
表紙のデザインが美しい。
帯の煽りに負けて読んでみた。
悪文の例を提示し、問題点を指摘した後、それを添削するという流れで進んでいく。
しかし、例として提示される文章が、当然悪文であるため、例文を読むたびに脳が破壊され、読んでいて疲れる。
著者の問題ではないのに、構造上どうしても読むのが苦痛。
それも踏まえて著者は解説してくれるのだが、中盤辺りからもう例文どころか解説すら読むの面倒くさくて、どうでもよくなってくる。
頑張って書いた割に、しっかり読んでもらえない書籍な気がする…。
ちゃんと読んだけど。
しかし、一方で、うまく書かれている文章の例に関しては、たしかにスルスルと頭に入ってくる。
比較しながら、こんなにも違うのかと認識できるのは、とても良い。
帯に「これで悪文が治る」と書かれているけど、絶対無理だろうと思う。
この帯はいただけない。
駄目なものを指摘する、修正する能力と、生み出す能力は全く別だ。
唯一、文章迷子が即実践できることは、井上ひさしさんの書籍でも描かれている、「短く、わかりやすく」という基本。
どの文章系の書籍でも共通するのは、文は短く、リズムよく書く。
これに尽きるのだと思う。
書籍の最後の方には、読ませる文章に必要なのは簡素な語彙でも溢れ出る「個性」だとも書かれている。
誰にでも通用する良い文章の書き方なんてものは、そもそも存在しないということにもなるのだろう。
そして、あとがきで綺麗にまとまる。
「名文は定義が難しいが、悪文は定義が易しい。文章を書くコツは、名文を書くことではなく、悪文を書かないことである」