No.399 徘徊もタスキかければパトロール!?
「シルバー川柳」(全国有料老人ホーム協会)は、2001年(平成13年)から始まりました。第1回の応募総数は、3,375句でしたが、2021年(令和3年)の第21回の応募総数は、5倍の16,621作品にも及んでいました。老人の笑いの知恵をお借りして、暗い世相を吹き飛ばしてみませんか?「いつの日も笑いは心の栄養剤」?
まことに恣意的で恐縮ですが、小生得意の独断と偏見により、各回の入選句の中から1句ずつ採らせていただきご紹介します。哀歓漂う秀句のオン・パレードです。
▼第1回(2001年)入選作より
「なってみりゃあの年寄りは偉かった」
▼第2回(2002年)入選作より
「耳遠くあの世のお呼び聴こえない」
▼第3回(2003年)入選作より
「それあれで通じるまでの幾山河」
▼第4回(2004年)入選作より
「妻の愚痴お茶と一緒に軽くのむ」
▼第5回(2005年)入選作より
「年だもの最後だわねとまたハワイ」
▼第6回(2006年)入選作より
「医者と妻急にやさしくなる不安」
▼第7回(2007年)入選作より
「食べたこと忘れぬように持つ楊枝」
▼第8回(2008年)入選作より
「あの世ではお友達よと妻が言い」
▼第9回(2009年)入選作より
「バラに似て妻も花散りトゲ残し」
▼第10回(2010年)入選作より
「食っちゃ寝て豚ならとっくに出荷済み」
▼第11回(2011年)入選作より
「『いらっしゃい』孫を迎えて出る諭吉」
▼第12回(2012年)入選作より
「『遺影用』笑いすぎだと却下され」
▼第13回(2013年)入選作より
「欲しい物今じゃ優しさだけになり」
▼第14回(2014年)入選作より
「老いるとはこういうことか老いて知る」
▼第15回(2015年)入選作より
「壁ドンでズボンの履き換えやっとでき」
▼第16回(2016年)入選作より
「ボケもよい昨日のケンカもう忘れ」
▼第17回(2017年)入選作より
「手をつなぎ互いの杖となるあした」
▼第18回(2018年)入選作より
「納得をするまで計る血圧計」
▼第19回(2019年)入選作より
「オレオレの相手をしたいほどの暇 」
▼第20回(2020年)入選作より
「ゴミ出しの俺とカラスは顔馴染み」
▼第21回(2021年)入選作より
「どなたですそういうあなたはどなたです」
この他にも秀逸な句が多く、冊子で読むもよし、ネットで読むもよし、お薦めします。思うに、「五七五」の世界は、日本人の老若男女の心を写し取って表現可能な、包容力に満ち、門戸の広い、大きな度量を持ち合わせた文学のようです。
「来てやった貰ってやったで五十年」(第4回、2004年、75歳男子、群馬県)
「五十年かかって鍋と蓋が合う」 (第9回、2009年、76歳男子、秋田県)