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No.361 エーッ、どうして?

 ある日の職員室での会話で、K先生から、
 「TVで言ってましたが、山梨県では、驚きや感動を表す言葉として『てっ』があるそうです。日本の感動詞はエ段が多いんですかねえ?」
と聞かれました。この「てっ」は、山梨方言で「あら」「まあ」「えっ?」の意味だそうです。朝の連続テレビ小説『花子とアン』の中でもよく聞かれた感動詞です。

 そう言われれば、『ジェジェジェ』『ゲゲッ』『へー』等々、「エ段は、確かにあるな」と思います。そこで、ちょいと研究者の意見をインターネットで覗いてみました。

 あった、あった、ありました。「話文の感動詞の音相と抑揚」(佐藤虎男)という論文です。そのタイトルからして、「何じゃこりゃ?」であり、論文を読んでも、私の頭では分かったような、分からんような…でした。

 しかし、佐藤氏の結論を紹介すれば、
 「末尾拍の音相では、ア段音が圧倒的に多く次いではエ段音、オ段音であり、イ・ウ段音はきわめて少ない。広母音(a)が優勢で狭母音(i・u)が劣勢であるのは、感動詞としていかにももっともなこと」
ということでありました。

 感動したときは、誰でも「アーッ」「エーッ」と大きく口を開けて言うわけで、口をすぼめて「ウー」と言えば、唸るか威嚇するかでしょう。さらに、「アー」「アッ!」「アラ?」「イヤーッ!」「ウワー!」などのようにア段音の方が声を上げやすく、感情を言葉で表すときに、口を開けて言うのは、ごく自然発生的な生理現象でした。

 「感動詞の語尾はア段の次は、エ段が多い」と言われていました。
「アラマー!」などは象徴的なア段のオン・パレードです。
「エッヘッヘ!」もエ段の面目を保ったことばでしょうか?
掛け声の「えんやらや!」などは元気の出るア段・エ段そろい踏みの「エエとこ取り」?

 K先生のご意見は、当たらずとも遠からず(遠からずとも近からず?)、納得できるものでした。考えたこともなかっただけに勉強になりました。エーッ、もう12月ですかぁ?歳と共に「ジャネーの法則」が、鳩尾にヒットしています。

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