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私は何者か、29
ずいぶん前のことになるけれど、ワーキングプアという言葉があった。
TVの特集で、ワーキングプアの人を追いかけていて、結果的に掌に数円の小銭を握りしめてその人が絶命した。そんなドキュメンタリー。だった。
怖かった。
心の底から怖かった。
自分がそうはならないと確信などできない。そう思うと、怖くて、未来が真っ暗なトンネルのような気がした。
想像が出来ず苦しむか。
想像が想像を呼んでのたうつか。
風の音に、お化けが来たんじゃないかと想像した子供の頃は誰にだってあっただろう。
痛みを想像できない悲しみ。
その悲しみを想像する一本の草は思う。
どこまでいっても、想像の世界。だと。
草は春の風に揺れている。
私は何者か。