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万象森羅シェアワールド

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万象森羅シェアワールドのサイドストーリー
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#万象森羅

万象森羅キャラクター紹介その1

万象森羅キャラクター紹介その1

   万象森羅と岡﨑農園のコラボ企画として始まった、万象森羅みかん🍊 今は直売所での販売のみですが、全国発送を希望される声があちこちから出ていて、来シーズンには実現しようという運びになりそうです!

   そして、コラボ企画のもう一つが、オリジナルキャラクターのタルトが活躍する万象森羅シェアワールド〜狸人族タルト編〜と、タルトの愛媛探検記といった物語作成になります。

   タルトと鬼っ子姉妹の

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万象森羅シェアワールド〜狸人族タルト編〜第一章:養子、発明家

第一章:養子 九節:発明家
「タルトの意識は戻りましたか?」
 シジカは首都に戻っていた。調査地から戻り、アザミに調査団が全滅したことを告げ、タルトの所在も掴めないまま気が収まらない毎日。そこへ宝石亀の帰宅と、タルトの生還を知らされ、急ぎ宝石亀邸を訪ねて来ていた。

「あと少し救護が遅れていたら、この子は助からずにいただろうが、四肢の骨が折れている他はなんとかなったようじゃ。」
 宝石亀はシジカに

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万象森羅シェアワールド〜狸人族タルト編〜第一章:養子、九死一生

第一章:養子 八節:九死一生
「坊ちゃん、坊ちゃん。」
 野営中に竜巻に襲われた曼珠商会調査団。15名の団員は、避難していた穴蔵から引きづり出され、ある者は岩肌に打ち付けられ、またある者は行方が知れずにいた。タルトに至っては竜巻に跳ね飛ばされながらも、奇跡的に沼地に落ち、衣服の下、体に巻き付けるように資料を抱えていたおかげで、即死にはならなかった。

「ん、ここは。あがっ。」
「鉱山近くの沼地のよ

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万象森羅シェアワールド〜狸人族タルト編〜第一章:養子、全滅

第一章:養子 七節:全滅
 曼珠商会は連絡員を多数雇っている。商会における情報部とは、一刻を争う事態に備えるための、言わば最低限の機関である。全国各地に向けて移動する必要があるため、特に急を要する時は飛行船を使用することもある。通常は地形に対応した騎獣が使われる。

 首都からやって来た連絡員によると、自然災害により奇妙な色の岩が露出している山があり、資源として利用できないか調査して欲しいと、曼珠

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万象森羅シェアワールド〜狸人族タルト編〜第一章:養子、資源調査

第一章:養子 六節:資源調査
「お嬢様、少しお時間よろしいですか。」
 タルトは令嬢姉妹の部屋を訪ねている。曼珠商会にやってきて3ヶ月が経ち、商人としてひと通りの業務を経験したタルトは、この間に知り得なかった、外の業務について知ろうと思ったのだ。

「あら、タルト。こんな時間から、お仕事熱心ですわね。何かまた聞きたいことがあるのかしら。」
 アザミはタルトの成長を見守り、良き相談役となっていた。そ

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万象森羅シェアワールド〜狸人族タルト編〜第一章:養子、鬼っ子姉妹

第一章:養子 五節:鬼っ子姉妹
 コンコン
 タルトと商人は職業適性判断所を後にし、曼珠商会本部の一室のドアの前に来ていた。
「お嬢様、予定通りと言いますか、思惑通りと言いますか、タルトが商人職に着きましたので、改めてご紹介します。」
 商人はそう言うと、食事処で会った姉妹にタルトの職業適性について話し始めた。
「...というわけでして、商会ではまだ誰も所持していない「創造具現」の資格を得ることが

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万象森羅シェアワールド〜狸人族タルト編〜第一章:養子、職業

第一章:養子 四節:職業
「ここが職業適性判断所か。あ、これでいろいろ調べるんだね。」
 タルトは冷静な気持ちで呟いた。ここで自分の運命が決まる。そう思うと、期待と不安とが交錯し、渡された適性診断用紙に目を通し始めた。
「ここも俺の所属商会が取りまとめてるんだ。人材を確保するっていうのもあるが、国を支える民にとっては、結構便利なところだと思うぞ。」

 商人の所属する商会は、いわゆる何でも屋と言っ

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万象森羅シェアワールド〜狸人族タルト編〜第一章:養子、出会い

第一章:養子 三節:出会い
 狸人族は13歳になるその年に親元を離れ、職業選択を迫られる。ある者は外へ、ある者は村に残りそこで身を立てる。ただし、男に関しては例外なく、一度は村を出なければならない。外で仕事を得て、一人前にならなければ帰ることは許されないのだ。

 村を旅立って3ヶ月。タルトは商人とともに首都へと入った。地の国の首都。工業生産で栄えた地の国において、全てが集まり、蒸気機関がやたらと

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万象森羅シェアワールド〜狸人族タルト編〜第一章:養子、夜会

第一章:養子 二節:夜会
「やあタルト。ちょうど君の話をしてたところなんだ。他のみんなは、もう興味ある職業決まったみたいだよ。」
    「そうなんだ。まだ全然考えてもいなんだ。みんなの話を聞こうと思って。不安だな。」
 タルトと話している狸人は、狸人族の商人職の男。夜会に来て、いわゆる勧誘をしているのだが、今年はどういう訳か進路を既に決めている若者ばかりだった。

 狸人族の男は商人に向く者が少

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万象森羅シェアワールド〜狸人族タルト編〜第一章:養子、始まり

   狸人族商人タルトの物語
 地の国に暮らす狸人族は、耳と尾に特徴のあるヒューマンタイプの種族である。始まりの12人と関わるにつれ、タルトは商人として世界の理について苦悩する。さあ、悩め、足掻け、挑み続けろ。
 これは地の国に生まれた狸人族タルトが織りなす、三国の歴史の1ページに過ぎない。

 第一章:養子 一節:始まり
 まだ肌寒さが残る。タルトは布団から上半身だけ起こし窓の外をぼんやりと眺め

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