社会は子どもに優しいのか
SNSでは子連れは迷惑だと言われたり、ニュースでは子どもが酷い目に遭う事件が報道されている。
そんな情報を見ていると、子どもを育てることは難しくて非難されることのように思えてくる。
実際そうなんだろうか。
「サイレント・マジョリティ」という言葉がある。「静かな大衆」「物言わぬ多数派」という意味だ。
社会では「善良な市民」は目立たない。
マナーを守り、静かに公共交通機関に乗る人のことを騒ぎ立てる人はいない。
社会では、大半の人はこのサイレント・マジョリティに当てはまるのではないか。
都市部で子育てをしていて感じるのは、特別子どもに優しいわけでもなければ、厳しいわけでもない。
エレベーターの開ボタンを押してくれる人もいれば、押してくれない人もいる。
順番を譲ってくれる人もいれば、並んでいるのに割り込みされる時もある。
「可愛い赤ちゃんだね」と話しかけられることもあれば、息子を見て微笑んでいる人もいる。もちろん、目も向けない人の方が多い。
ただ、満員のエレベーターや電車で子どもが大泣きしても、あやしているのもあるだろうけど、「迷惑だ!」「泣き止ませろ!」など怒鳴りつけられたことはない。
子連れって、別に特別じゃない。
社会には、大人もいれば子どももいて、妊婦や高齢者もいれば、身体が不自由な人もいる。
みんなそこまで他人に興味はないのだ。
赤ちゃんの泣き声を内心はうるさいと思っている人もいるだろうけど、人を怒鳴りつけたり危害を加えて被るリスクの方が高いことを、サイレント・マジョリティは知っているのだ。
社会の秩序に則って、みんな自分の人生を生きるのに忙しい。
だから、子連れだから迷惑をかけるとか、子どもが泣いたらどうしようとか、別に気にしなくていいと思う。
健康な大人でさえ、突然具合が悪くなって周囲の人に助けを求める可能性だってある。
そんな時は自分の属性がどうとか関係なしに、困ったら人に助けてと言えばいい。
私も、ベビーカーを押していて、混雑しているエレベーターで誰も開ボタンを押してくれない時は「すみません、ちょっとボタン押してもらってもいいですか」とお願いする。それで無視されたことはない。
進んで親切にしてくれる人は少ないかもしれないが、みんな他人が関心がないだけなので、名指しで小さなお願いをされて断る人は少ないと思う。
子連れだから親切にされて当たり前ではないし、子連れだから小さく縮こまって申し訳なさそうにする必要はない。
なんてことない。だれだって社会のモブだから。
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