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愛する息子よ、あなたがもし死にたいと言ったら

小さな身体が呼吸するたびに膨らむ。

ミルクを飲んでは寝ているだけの赤ちゃんだったのに、よちよちと歩き、大好きなコロッケを頬張るあなたは立派な幼児だ。

かつて私もこんな「子ども」だったんだ。

高校生からうつ病の私が、初めて「死にたい」と思ったのは一体いつだったんだろう。

世界で一番、愛しい愛しい可愛い息子。

あなたも将来、大きくなっていく途中で「死にたい」と思うことがあるんでしょうか。

私とあなたは全く違う人間だということを充分に理解した上で、お母さんの気持ちを話させてください。


あなたが死にたいと思った時。
その時、私に「お母さん、僕死にたい」と言ってもらえるようなお母さんになりたい。

あなたが私に気持ちを伝えてくれたら、その時私はなんて言うんだろう。

動揺して悲しくて涙を流す?そんなこと言わないでと言って、事実を受け止めきれない?ただ、辛かったねと共感するのでしょうか。

とてもとても辛い時。
すべてが無になるような「死」というのは憧れに近い。

生きている人間は、当たり前だけど誰も死んだ後のことがわからない。

わからないことって怖い。生き物の本能として死ぬってとても怖い。
そのはずなのに、死がとても甘美で魅力的に見えてしまうほど、辛い時が、生きていると存在する。

生きているからこそ、嬉しいことも悲しいことも感じられる。そんなことはわかっている。
自分1人じゃ受け止めきれないような、四肢がもがれて粉々に砕かれてしまうような、そんな日も生きていればある。

大好きな食べ物も趣味も、なにもかも灰色に見えて、身体がずっしりと重く、お風呂どころか食べるのも眠るの出来ないほど辛い日もある。

あなたが死にたいと思ったのは、どんなことがきっかけなのか、日頃の積み重ねでもう頑張れなくなってしまったのか。それはその時になってみないとわからない。わからないけど…

「あなたには、生きる自由も死ぬ自由もある」

それだけは伝えたい。

私は、あなたを世界一愛している。
あなたが生まれてから毎日、世界は美しさを更新していて、私はあなたに会うために今日まで生きてきたんだと確信している。

あなたを失いたくない。
あなたを失ってしまうことは、もう生きていたくないくらい耐え難いことだ。

私より絶対先に死なないでほしい。

でもそれは、私の気持ちであり、あなたの問題ではない。

あなたが生きるか死ぬかは、あなた自身が決めることだ。
もちろん病気や事故などもあるし、いつ死ぬかなんて誰にもわからない。それでも自分で選択できる範囲内であれば、決める権利はあなたにある。

あなたの人生は、あなたのものだ。

あなたは私のために何かしようとしなくていい。罪悪感や責任を感じる必要はない。

私はこれからもずっと、あなたのお母さんだ。
あなたのためならどんなことでも頑張れる。

今、生きていてくれてありがとう。
毎日たくさんの笑顔と幸せをありがとう。

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