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プレゼント・デザインのやり方

今回はプレゼント・デザインの具体的な方法論について書きます。関連資料は以下をご参照ください。

プレゼント・デザインは、フューチャー・デザインと対比させてそう読んでいるだけで、基本的に通常の課題発見型授業のグループワークと同じです。そして、フューチャー・デザインの一連のワークの最初に実施します。その理由は、通常のワーク・思考法であるためやりやすく、この後にフューチャー・デザインで新たな思考体験をした学生がその違いを気づきやすく、そしてフューチャー・デザインの効果について考察しやすくなるからです。

面白いグループワークで学生がワイワイ盛り上がること自体は良いのですが、やりっぱなしで終わってしまうと後に何も残りません。大学の授業でそれではお粗末です。グループワークで何らかのテーマについて議論を深めた後、その議論について自己省察したり、そのワークの効果を分析・考察したりすることができれば、もう一段階レベルの高い授業になります。自ら考え、問題を解決する能力を養うことにも繋がります。

プレゼント・デザインについては、課題発見型授業の経験のある方は、そのプロセスをそのまま適用するだけで構いません。経験のない方で、しっかり授業時間が確保できる場合は、次のような流れを踏んでいけば良いと思います。重要なことは、しっかりシミュレーションをして、5分単位でタイムスケジュールを組み、しっかりスケジュール管理・タスク管理をしながら授業のファシリテーションをすることです。グループ分けなど事前にできることはやり、省ける無駄な作業は極力減らしましょう。

  1. アイスブレイクと役割分担決め(15分程度。グループ分けは事前にやっておき、授業開始前に座席表と合わせて掲示しておくと時間のロスがない)

  2. テーマとグループワークですべきことを提示する(例:テーマ:これからの医工学を考える、グループワーク:医工学の実態を調べ、問題点を絞り出す。この説明に5分程度。少し詳しめのレクチャーをする場合はさらに5分から10分程度)

  3. そのテーマについて調べ物学習(ネット検索で5分から10分程度。「各自3つ以上気になるトピックを集めること」と指示するなど、具体的な数値目標を提示するとやりやすい)

  4. 調べたことについてグループで共有(1人数分で順番に話させる。5分から10分程度)

  5. 問題点を洗い出す(時間があれば、ブレインストーミングでたくさん問題点を出させ、それをマインドマップにして、メンバの興味のハブとなっているトピックを視覚化し、グループとして取り上げるべき問題点を決めるという流れがスムーズ。ブレストやマインドマップのやり方の説明を5分程度、ブレストしながらマインドマップを描いて説明するのが15分程度、グループとして取り上げる問題点を決定するのに5分程度)

  6. ここまでで60分程度

  7. 次に、洗い出した問題点に対する解決策を考える(ここまでやってくれば、自由討論20分くらいで解決策が色々出せるはず)

  8. 最後にクラス全体で発表し、教員が講評を述べて終了(グループ数にもよるが10分程度は必要)

  9. ここまででちょうど90分程度。最後に活動報告などを書かせる場合はどこかを削って5分程度確保しておく

経験の浅い先生は、ここまで管理しないといけないのか、と思われるかもしれません。しかし、高年次や大学院生ならまだしも、初年次の学生にはこれくらいやってちょうどいいと思います。もちろん学生のレベルにもよりますので、もっと丁寧に手取り足取りしないといけないこともあるでしょう。そして、授業中に気づいたことや改善点はメモをとり、授業の後に教員もしっかり自己省察を行い、手順や資料をブラッシュアップしましょう。これを繰り返すことでグループワーク型授業のスキルが着実に上っていきます。今回はここまでです。

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