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人生初の「勾玉づくり」をしてきた話。

人生で「勾玉作ったことあるよ」という人はこの日本にどれぐらいいるのだろう。

そもそも「勾玉」を「まがたま」と読める人はどれぐらいいるのだろうか。
私は今まで「まがだま」と読んでいたたけど、正式名称は「まがたま」らしい。
実際にMacで変換しても「まがだま→魔が玉」になってしまう。なんだかヤバさが倍増する。

そんな私なので、もちろん今までに勾玉を作ったことなんてなかったし、いつか作ってみたいとも思っていなかった。

それがひょんなことから、本日、人生初の勾玉づくりをすることになった。




名古屋市の北東に位置する守山区。
その北東の端にあるのが「志段味(しだみ)」地区だ。

最近はコストコができたり住宅も増えたけど、まだ名古屋市の中ではわりと田舎。
志段味はそんな場所である。

実は志段味には、1700年ほど前に作られた古墳がたくさんある。
まだほんのりと原型をとどめているものもあるらしい。

歴史の里 しだみ古墳群HPよりお借りしました)

この鍵型のシルエット。
誰しもが一度は、歴史の授業で目にしたであろう「前方後円墳」だ。
ぜんぽうこうえんふん。なんだかかわいい響きである。

この志段味古墳群の拠点施設として、2019年にオープンしたのが「体感!しだみ古墳群ミュージアム」だ。

…と、さも前から知っているように書いているけど、今日までは「いつぞや夕方の地域のニュースで名前を見たなあ」ぐらいの知識で、詳しくは知らなかった。

正直、古墳にそんなに興味もないし、子供向けの施設だろうし、多分行くことはないだろうと思っていたのだけど、たまたま今日、近くのお店でランチをしたあと「行ってみる?」という流れになった。

そしたら意外に…というと大変失礼なのだけど、結構楽しい場所だったのでみなさまに是非ともご紹介したいと思う。

勾玉や古墳に興味がある方もない方も、ちょっと長いけど写真多めでお届けするので、お付き合いいただけると大変嬉しいです。



・友達の「勾玉作ってみたい」に押されて

こちらがその「体感!しだみ古墳群ミュージアム」。
略して「しだみゅー」。
なんかポケモンにいそう。
ポケモン見たことないけど。

入場は無料。展示室は有料(200円)。
広い駐車場ももちろん無料。
非常に良心的な施設である。

友達と中に入り、古墳や埴輪があしらわれたグッズを見たりしていたら「体験コーナー」なるものを発見。

「へえ、何が作れるんだろう」と見ていると職員らしき女性が「今日は、勾玉のネックレスか管玉のブレスレットかチャーム、組紐のブレスレットが作れますよ」と言いながら、見本を見せてくれた。

どれも所要時間は約1時間。

「ふーん」と思う私の横で、友達が「面白そう!勾玉作りたい!」と言った。
「え?本気?!」と言いながらも、勾玉を作るなんて今までやったことないし、多分この先の人生でもなさそうだし、これは面白いかも…って感じで、勾玉ネックレスを作ってみることになった。


・1時間、石をただひたすら削る。

勾玉づくりの会場は、建物2階にある「体験活動室」。

夏休みは子供達で賑わっていたそうだけど、今日は平日だし空いていて静かだった。

(中学校の技術室(だっけ?)を思い出すような空間)


案内された机の上には、水の入ったプラスティック容器、作り方の説明、タオル、木の台、丸棒、紙やすり3種、そして勾玉になる石が置かれていた。

まずは担当の女性から、作り方の説明をひと通り聞く。

ざっくり言うと、この石を紙やすりでひたすら削って、勾玉の形に仕上げていくということらしい。

石を紙やすりで丸くなるまで削るとは…なかなか果てしない作業の予感である。

(作成見本。左の1から右上の5まで仕上げていく)


説明が終わったら、早速勾玉づくりスタート。

まずは、一番目の粗い100番のやすりで、下書きの線まで削る。
木の台にやすりを敷き、消しゴムで消す要領で石をゴシゴシと削る。

柔らかい石なので、思いのほか簡単に削れて気持ちが良い。
でも調子に乗って同じところばかり削ると、削りすぎたり、形が歪んでしまうので注意が必要。

ちなみにこの石は、子供の頃、アスファルトの道路に線とか絵とか書くときに「これ柔らかくて描きやすい!」と思った石があったと思うのだけど、その石らしい(伝わるのだろうか)

向きを変えたり、内側の丸いところは、木の丸棒に紙やすりを巻いてぐりぐりと削ったりして、ようやく下書きの線に辿り着いた。

ここまで30分ほどかかっただろうか。
なんだか愛着が湧いてきた。
ちょっとイモムシみたいにも見えるけども。


そして今度は、この角を取って丸みをつけていく。
同じ100番のやすりで、これまたひたすら削り続ける。

これがなかなか難しく、削りすぎると平らになってしまうし、どこかに丸みをつけると違うところが歪んだりして「あれ?なんか変な形になっちゃった!」とか言いながら試行錯誤。

ただこの日はありがたいことに、最初は生徒が私たちしかいなかったので、ほぼマンツーマンで先生に質問ができた。

「これでいいですか?」
「うーん、この辺りの丸みが少し少ないかな」
「もう少し削ります!」

「ここがどうしてもうまく削れなくて…」
「紙をこうやって当てると削りやすいですよ」

などなど、手取り足取り教えてもらえてすごくありがたかった。
夏休み終わってて良かった。


さて、試行錯誤の末にやっと丸くなった勾玉くんがこちら。
そろそろ「これは勾玉です」と言っても大丈夫な形になってきた気がする。

形が決まったら、水の中で2番目の紙やすり(600番)で傷を取る作業。

100番ほど目は荒くないのだけど、力を入れすぎると若干形が変わるので、傷だけを取るように表面を削り続ける。

(先生の実演。職人技でした)

削っては水から出してタオルで拭いて「傷がないか」を何度も確認。
意外と細かい傷が残るので、なかなか繊細な作業だった。

何度か先生に見てもらい「はい!大丈夫です!」と言ってもらったら、次は一番目の細かい1000番の紙やすりで仕上げ。

この時点で、すでに予定の1時間を過ぎていたけど、先生も他の職員さんも優しく見守ってくれて本当にいい施設だった。


最後にネックレスにするため、好きな色の紐とビーズを選ぶ。

夏休み中は色数が少なかったらしいのだけど、ちょうど今日いろんな色が入荷したとのことで、選び放題!

ラッキー!
色々選べるの楽しい!嬉しい!

夏休み終わってて良かった。(2回目)

これを穴に通して、しばったら完成!
じゃじゃーん!

すごい!勾玉だ!
縄文時代の人になれた気分!

せっかくなので、首から提げて記念写真も撮ってもらいました。

(左が私、右が友達の鬼頭望さんです)

不思議なのだけど、最初は同じに見えた石の色も、削って水につけたら全然色が違ってびっくり。

友達のは、ほぼ真っ白な石で、私のは少しグレーというか緑がかっていました。

これは削ってみないと分からないらしくて「ちょっと勾玉面白いじゃないの…!」ってなりました。


・そもそも「勾玉」ってなんなんだろう

できあがった勾玉ネックレスを首から下げて今さら思う。
「勾玉」とは一体何なのか。

昔の人のお守りだか祭祀のものだか…ってイメージだけど、詳しくは知らない。

てことで、調べてみた。

勾玉は、先史・古代の日本における装身具の一つである。祭祀にも用いられたと言われるが、詳細は分からない。語源は「曲っている玉」から来ているという説が有力である。

Wikipedia より)

最初は動物の牙を削っていたとか、胎児の形をモチーフにしてるだとか色々説はあるそう。
でもどれが本当のことなのかは、今も分からないらしい。

さらに調べて分かったことがある。
それは、勾玉はあの「三種の神器」のひとつだということ。

その名も「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」。
絶対覚えられない。

Wikipediaより)

三種の神器は聞いたことあるし、鏡と剣は知ってたけど、「あと一つ何だろう?」と疑問すら持たなかった自分が恥ずかしい。
いやもしかしたら聞いたかもしれないけど、すっかり記憶になかった。
これで絶対忘れない。
フルネームは無理かもだけど。

そう考えると、ものすごく神々しいものを作り出したということになる。
大事にしよう。私の勾玉ちゃん。


・勾玉作り、そのお値段は?

さて、勾玉の石に紐やビーズ、そして紙やすりなど色々用意してもらった勾玉作り。
気になるのはそのお値段。

それは・・・なんと300円。しかも税込み。
安すぎますやん!!


この体験活動室では、ほかにも「菅玉づくり」「埴輪づくり」「組紐づくり」などなど毎日開催されている。

どれも200円とか300円とお財布に優しい価格なので、ぜひお子さんがいる方は一緒に来て作ってみてはいかがでしょうか。

キッズコーナーもあったし、グッズはお子さんのお小遣いでも買えるようなキーホルダー(300円)とかクリアファイル(50円)もあったので、楽しめると思います。

(前方後円墳の形の椅子もかわいい)


・こふんメニューだらけのカフェ。

勾玉作りのあと、施設内にあるカフェ「CAFE MORI no UTA」に立ち寄った。
ここが、広いし静かで非常に快適だった。

私は「こふんもなか」をいただいた。

馬の埴輪クッキーがついている。かわいい。

馬の埴輪といえば、NHK教育テレビ番組の「おーい!はに丸」のひんべえを思い出したのだけど、通じる人はいるのだろうか。
はに丸王子の横にいつもいた馬のひんべえ。
埴輪の王子と埴輪の馬。よく考えると非常にシュールな番組である。

ほかにも「こふんオムライス」とか「こふんソフト」などがあったけど、それ以外の普通なメニューも盛りだくさんで、近所だったらたまにひとりでふらっと来てもいいよなあ…なんて思うカフェだった。


・結論。「体感!しだみ古墳ミュージアム」は非常にオススメ!

結局、有料展示は見なかったのだけど(意外と時間がなくてね…)、勾玉作ってカフェでお茶して、外の公園を散策したら大満足だった。

そう、施設の外には竹林や広々とした公園があった。

今日は暑かったので(最高気温36度)、古墳まで歩くことは諦めたのだけど、スタッフさんが説明してくれる「古墳ガイドツアー」もあるみたいなので、次回はこれに参加してみたいと思った。

ちなみにガイドツアーは、信じられないけど無料。
とにかく良心的な施設よね。


ということで、古墳に興味がある方もない方も、志段味が読めなかった方も、お近くにお立ち寄りの際は是非一度「しだみゅー」へ!

涼しいし(多分、冬は暖かいし)、雨が降っても関係ないし、裏の公園広くて気持ちいい、駐車場も広いしとてもオススメ。

勾玉づくりに関しては、無心で石を削る時間がなかなかよかったです。
大人にそういう時間って必要だと思う。


その他、詳しい地図や休館日など、こちらからご覧ください。
しだみゅー、いいところだよ。



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