「聖五月」の猫祭り
【御礼】記事「「聖五月」という季語」にうれしいお知らせをいただきました。(後掲)
カトリックの国、ベルギーでは、三年に一度の「聖五月」に、キリスト教の教会行事でもなく、キリスト教以前の豊穣を祈る儀礼にも由来しない、「猫祭り」という行事が、十世紀にわたって続けられている。
古代エジプトでは、猫は闇でも目が見えることから闇を退治する女神バステトとして崇拝された。また、ねずみを食べることから農業神としても崇拝された。
キリスト教のもとでは、古代の神は異端視され、猫はあらゆる魔力の元凶であり魔術と結びつくとされた。
やがて猫は魔女の使いとなり、長い間迫害され続けることになった。
「猫祭り」では、城から猫のぬいぐるみが投げ落とされ、巨大な猫の女王や猫に扮した子供たちが、楽隊と共に街を練り歩く。
「猫祭り」は、ゲルマン人の信仰とキリスト教会との軋轢の歴史が生んだ民衆の祭である。
「聖五月」は、キリスト教による猫たちの受難の歴史を振り返る月でもある。
ベルギーの猫祭りについて、星マリア🌹占い界の傾奇者 さんが記事で詳しくレポートされています。お祭りの内容と様子が、文章と画像と動画でよくわかりますので是非ご覧ください。
(岡田 耕)
*参考文献
谷口幸男 遠藤紀勝『図説 ヨーロッパの祭り』河出書房新社 1998年