歳時記を旅する2〔聖五月〕後*三毛猫のモンロー歩きや聖五月
磯村 光生
(平成十四年『猫』)
メイの語源は、ギリシアの春の豊穣の女神マイア(Maia)にある。
ヨーロッパでは、五月一日の五月祭で、お祭りの主役として選ばれた五月の女王(メイクイーン)は、マイアの化身として町を練り歩く。
彼女に随伴する役目の五月の王は、西洋ナラと山査子の葉でできたリースを身にまとい、メイ・クイーンの心を射止めようとする。
句の猫ちゃんは、三色の毛皮をまとい、つま先を立てて、初夏の町を女王さながらに練り歩いている。
(岡田 耕)
(俳句雑誌『風友』令和二年五月号 「風の軌跡―重次俳句の系譜―」)