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どうして茅の輪をくぐるのか(その3)
【スキ御礼】どうして茅の輪をくぐるのか(その1)
【スキ御礼】どうして茅の輪をくぐるのか(その2)
この菅貫神事は現在の宇佐神宮でも、7月31日、8月1日、8月2日に斎行される御神幸祭(夏越祭り)の中で行われています。
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宇佐神宮特有の祓具である「解縄串(ときなわぐし)」で、宮司以下神職が各自の祓を修した頃、二重の茅輪を後取(奉仕係の神職)が薦の上に置き、その片方を垂直に立てて待機する。
神職が薦の上に進んで起拝を行い伏せる頃、後取は立てた茅輪を神職をくぐらせる様に倒す(菅貫)。
神職は体を起こして、笏に添え持った解縄串を川御幣に投げ放つ。
菅貫神事の流れは文字ではわかりづらいので動画でも確認しましょう。
菅貫神事は動画の8:05から3分程度収録されています。(宇佐市観光協会ツーリズムTV 平成25年8月2日収録)
動画に出てくる字幕を以下に書き出します。
神輿が到着すると神事が始まる前に神官の祓いを行う行事です。
祝詞が奏上された後、最初に宮司が茅の輪をくぐる。
茅の輪をくぐり神前に着くための祓いを行います。
参列している全ての神官が、同じ所作を行います。
最後に御幣を投げて祓いを行います。
参列した神官全員が茅の輪をくぐり御幣を投げると、この神事が終了します。
古来では、祓いに使った御幣や茅の輪を寄藻川に流していました。
穢れは放生会で彼岸に送られるとして行われており、宇佐神宮における神仏習合の名残といえます。
ここで押さえておくべきは、「神事が始まる前」ということと、「神官の祓い」ということです。
御神幸祭は、人々の疫病を除き災厄を防ぐと共に、八幡総本宮として国家国民の安寧を祈願するものだそうです。
一日目は、上宮での祭典の後、本殿より三所のご神体が三基の神輿に乗り境内の頓宮(御仮屋)まで御神幸になります。
菅貫神事は、この三基の神輿が頓宮に入る前に行われます。
神職も神様と共に頓宮に入るのは一年ぶりになるのですから、自身のお祓いをするということなのでしょう。
ですから、菅貫神事は頓宮の門の前で行われます。
このあと神職は、頓宮の門から入り、頓宮での祭典「頓宮御着輦祭」が催行されます。
御神幸祭は疫病退散と国家安寧を願うものではあるものの、菅貫神事は、その中で宮司や神官の身を祓うための神事として位置づけられているようです。
菅貫神事の設えは、平安時代の『年中行事絵巻』の「六月祓」の中の設えともよく似ています。
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次は、菅貫神事の、神話との関係、茅の輪くぐりとの関係を考えてみることにします。
(岡田 耕)
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