道元禅師が書いた「立春大吉」
【スキ御礼】立春大吉
「立春大吉」とはどういう意味があるのだろうか。
曹洞宗では、立春の日に、祈祷読経して、「立春大吉」と書いて三宝印を押したお札を山門などに貼るとともに、檀家に配布する風習がある。
曹洞宗の開祖である道元禅師が直筆で書いたとされる「立春大吉文」の原文と現代語訳を見てみよう。
これは宝治元(寛元5)年(1247)立春、48歳の道元が、永平寺で書いたことになっている。
しかし、文献によるとこの年には立春はなかったことから、道元禅師の真筆ではなく、後世の贋作であるとされている。
立春のない年、というのはどういうことか。
現在の太陽暦では、立春はほぼ2月4日にあたるが、旧暦では年によって新年の1月1日は二十四節気とのずれが生じる。
年によっては1月1日より前に立春がくることがあり、年内立春とも言われる。
今年(2024年)もそうで、2月10日が旧暦の元日になる。
その新年には立春がないことになり、宝治元年(1247)もそうだったということなのだろう。
ではなぜ、立春大吉の著述の日が宝治元(寛元5)年でなければならなかったのだろうか。
(つづく)
(岡田 耕)
*参考文献
『禅学大辞典』大修館書店 1978年
『道元辞典』東京堂出版 1977年
東隆眞『道元小事典』1982年
石龍木童訳註『現代語訳 建撕記図会』国書刊行会 2000年
*画像出典:国立国会図書館ウェブサイト
https://dl.ndl.go.jp/pid/1108190/1/61
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