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白秋が見つけた「赤いあめんぼ」

【スキ御礼】「歳時記を旅する16〔水馬〕後*水馬踏まへし水の堅さかな


「あめんぼ、赤いな、ア、イ、ウ、エ、オ。」で始まる北原白秋の詩「五十音(通称「あめんぼの歌」)」。

白秋の歌集に出てくる色彩語の研究がある。*
長塚節、与謝野晶子などの歌集と比較されている。
白秋歌集の4247首のうち色彩語があるのは1060首で四分の一(25%)。(節22%、晶子18%)。
そのうち、赤が三分の一を占める(34%)。(節14%、晶子18%)。
その赤を表現する語彙の種類の数は15に及ぶ。(節2、晶子9)。
この赤の比較だけでも白秋の色彩感覚が豊かだったことがわかる。

ところで、アメンボは赤いのだろうか。
図鑑でみると、広く分布する黒いアメンボ(ナミアメンボ)のほかに「コセアカアメンボ」という種類がある。背中が赤いから「セアカ」。見た目は赤には至らないが褐色である。
白秋が見たのは、これだったのだろうか。
生息分布も本州以南とのことで、柳川に生れ小田原でこの詩を書いた白秋の生活域を外れてはいない。
語呂合わせのような詩ではあるが、色彩感覚が豊かな白秋でも、根拠がなければ赤、という発想には至らないはず。
もとより、アメンボをその特徴的な姿や生態ではなく、色で把握しているところに、着眼点の感覚的な鋭さがあるように思う。

白秋の童謡で「赤」のつく代表的な歌に「赤い鳥小鳥」があります。
 haco 🍀ガーデンプランナー🌱庭のある暮らし植物のある暮らし さんが白秋の詩とともに、赤い実のなる植物を教えてくださっています。ご紹介いたします。

(岡田 耕)

*参考文献
  木村俊夫「歌人北原白秋の色彩感覚」『照明学会雑誌』第39巻第1号 1955年

ありがとうございました。


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