自分はどこへ消えた？

2019年10月13日 05:58

今回は現在までに全世界で2800万部、日本国内で累計400万部を突破したとされるベストセラー、チーズはどこへ消えた？から人材育成などを考えてみることにします。

もくじ
1 自分にとってのチーズとは
2 キャリアデザインの参考書
3 さあ、何をどうすべきか

1 自分にとってのチーズとは

この物語は、2匹のネズミと2人の小人が、食糧にするためと幸せになるためにチーズを迷路に探し歩くというお話です。

自分自身におけるチーズとは何でしょう・・・
家庭・仕事・財産・健康・・・
いろんなことが当てはまるかもしれません。

この物語、読みやすい話の中に、実に深い人生の教訓が示されています。

子供の頃
夏休みがいつまでも続いたら良いのになあって
クリスマスが毎月あったら良いのに・・・
お正月、毎日お年玉もらえたら良いのに・・・
お婆ちゃんの膝の上にいつまでも座っていたいって・・・

学生の頃
クラスの仲間とずっと一緒にいたい・・・
担任の先生が優しいからずっとこのままで・・・
部活の先輩になるとやっぱり良いもんだな・・・

社会人になって
初めて配属された部署やっぱりいいな・・・
指導役の先輩にずっと面倒見てもらいたい・・・
配置転換したくないよな・・・

こんな風に思いませんでしたか？

人は何か安定したものを得ると、
それがいつまでも続くような錯覚に陥り、
ずっと居心地の良い安定した場所にしがみつきたくなるものです。

2 キャリアデザインの参考書

この本は、一般大学のキャリアデザインの授業でも参考書にされているくらい、多くのことを学べる本だと思います。

スペンサー・ジョンソン　著　門田美鈴　訳　チーズはどこへ消えた？　扶桑社　2019

私のキャリアは、転職を繰り返し、本当に様々な経験をしてきました。
これが良いとか悪いとかの話ではないことは言うまでもありません。

さて、この「チーズはどこへ消えた？」の本ですが、
2匹のネズミと2人の小人、いやしくも2人の小人の方が、状況の変化を受け入れることができず、いつまでも固執し、なくなってしまったチーズがいつかまた現れると信じて、次の行動に移せなかったことを表現されています。

2匹のネズミの方が賢く、状況の変化に柔軟に対応し、新しいチーズを探し歩いたと表現されています。

一般大学の授業でこの本書を参考書に取り上げる場合、教員は学生に何を学ばせようとしているのでしょうか？

ここを考えることが、私たち理学療法士の世界において非常に重要な気がしています。

3 さあ、何をどうすべきか

私は、学生指導や新人指導をする場合によく話すフレーズがあります。

「いつまでも学生じゃないし、新人でもない。あっという間に中堅になり、やがて役職者になる。時代は常に変化し続ける」

どうしてこのようなことを話してきたのか、きっかけはよく覚えていません。
自身の経験則で、なんとなく話してきたのでしょう。

しかし、このような話をしていても、何となくスッキリしない気持ちもあったことも事実です。

自分自身に異動命令が下りたらどうしよう？と・・・

自分は転職人生です。自ら選んで職場を変えてきました。
自分で決断し、変化することを追い求めてきました。
飽きっぽい性格？
好奇心旺盛？
向上心？
きっとどれも当てはまります。

本書では、現状にとどまることより、変化を恐れず、変化すら楽しみ、自分の人生は自分しか変えられない！ということを物語っています。

さあ、何をどうすべきなんでしょうか？

この本は転職を勧めている本なのでしょうか？
本当に自分が変わるべきなのでしょうか？
ネズミと小人、どちらの行いの方が良かったと言えたのでしょうか？

理学療法士は、理学療法が必要な対象者に理学療法を行うことが生業の職種です。
対象者のキャリアにも一部関わる職業です。
対象者のキャリアについて真剣に考える前に、自分自身のキャリアについても真剣に考ておく必要があると感じます。

自分のあの頃は、考えているようで何も考えず、
のらりくらり、行き当たりばったりの人生でした。
十分楽しい人生を過ごしていると思いますが、
もっと楽しい人生を送るためにはどうしたらいいのか？

自身の色んな可能性を信じて
たくさんシミュレーションしておくことは良いことと思います。

チーズはどこへ消えた？と慌てる前に
チーズは消えたか！では次の手に移るか！！
と余裕で次の手を打てるように、あれやこれやと考えておくことは良いと思います。

幸せになるためのチーズ
自分にとってのチーズとは何ですか？

僕は、自分にとってのチーズは、自分かもしれません。
自分はどこへ消えた？？とならないように
自分自身をよく味わい、自分自身の幸せを願います。
そしてその先は、もはや言うまでもないでしょう・・・理学療法士、とても良い職業です。