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前作に引き続きとんでもない世界観が楽しめる。「イカゲーム2」批評
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昨年の年末に配信された「イカゲーム2」をNetflixで視聴しました。
前作が2021年で、これがとても人気になったらしいです。
私はそれをリアルタイムて視聴しなかったのですが、昨年イカゲーム1を視聴し、最上級に面白いと思いました。
NetflixやAmazon Primeで配信が楽しみだった作品はこれが初めてです。
で、感想なのですが、やはり最高に面白かったです。
なんと言ってもイカゲームは将来の先進国の社会システムを先取りした設定のように思えます。
民主主義社会において、主権者たる国民の多くが主体性を失った結果、国策として尊厳死の概念を拡張する必要が生じてくるのではないかと私は見ています。
そんな中、ただ病室ないし自宅でシロップを飲む、
そんな死に方、誰でも嫌ですよね?
というか、現段階ではそれが限界で、スイスなど海外では安楽死を制度で導入している国もありますが。
あれでは日本国民の1%もそれを選択しないでしょう。
体操服で施設に収容され、6日間のうちに99%命を落とす参加者たちは、後期高齢者の比喩なのです。
彼らが自分の意志で集まり、同意書までサインして、ゲームに参加する所が本当に秀逸な設定だと思います。
ゲームの性質上、参加者は男性が多いです。
この点については、では女性にとっての「イカゲーム」はないのかという問いがあるかとは思いますが、
それはゾンビ映画の世界観です。
ゾンビ映画も今結構流行っていて(新感染、哭悲という作品がオススメです)、ゾンビに噛みつかれるとウイルスが感染してゾンビになるというやつなのですが、こちらは現代社会における認知症や植物状態の比喩かと思います。
姿形はそのままに、生物として最低限の応答を行うが、「死んでいる」とも言える状態。
イカゲームもゾンビも、近しい人の命が奪われるという点では大変悲しいことです。
話は戻りますが、イカゲームにおいて銃弾1発で人が死ぬというのは明確にフィクションですし、あれが話を面白くしています。
銃弾1発に人命1個の重みがあるのです。
普通は1発じゃ全然死なないですからね。
主人公はそんなゲームを前作で唯一生き残り、「生命の尊さ」を主張するキャラに変わります。
大金を手にした彼が悪役ともいえる振る舞いをしてしまう所に、ゲーム設計者の妙がありますよね。
特に、これはネタバレですが、
第一ゲームの「だるまさん」で、ソンギフンは「前の人を盾にして進め!」と悟し、それに皆従いますが、
それって最前列の人権は無視ですよね。
ゼロサムゲームに対して、不適切なアドバイスです。
実際これにより犠牲者も増えているはずです。
後半にも、ソンギフンは少数の犠牲者を容認する発言をします。
結局、大きなトロッコ問題の系にハマってしまって、ソンギフンは伝統的な主人公としてではなく、悪の道に進んでしまったのです。
にしても、イ・ビョンホンがマジでカッコいいです。年末帰省したら、母親も大ファンだと言っていました。
以上です。