#189『悪童日記』アゴタ・クリストフ

 もう何度読んでいることであろうか、この本。アゴタ・クリストフの代表的作品。三部作の一作目である。ひたすら残酷で、冷徹である。しかしそれは頭で考え出した恐怖、読者を興奮させるためのあつらえごとではないのだ。それは事実あったこと、人間がこれからも繰り返すであろう愚行の数々であり、それを背景として、双子の少年が生きていく様子を、淡々と、これ以上の淡々はあり得ない冷たさで綴っていく。かなり読んでいると辛い所もある。が、それを超えてページをめくらせる力が強い。あっという間に読み終わってしまう。何なんだろう、この体験は…と呆然としつつ第二巻『ふたりの証拠』に進み、更に驚愕を深める、というふうになっている。
 この本については読みすぎてしまっているために改まって感想を書くことはしない。
 読んだことのない方には是非一読を勧めたいと思う。

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