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お米太郎
2022年5月23日 20:43
「君は何をしとるんだ…」僕を迎えにきたその人が、改札の向こう側からすでに、非難の言葉を口にしているのがわかる。ややくたびれているようにも見えるが、その人はやはり綺麗で、若い。呆けた僕をまっすぐ睨みつけながら、人のいない改札を、ヒールを鳴らして歩いてくる。彼女はいつでもヒールを履いているんだった。懐かしい音を聞き、ほっとするのがわかる。「すみません、先生」僕が言うと「ン、とりあえず…」と一
2022年5月22日 23:04
カタカタと揺れる窓の近くで垂れ流しのTVをぼんやりと見た。お父さんはぽりぽりとなにかしらの菓子を食べている。詳しいことを聞いてこないが全く無関心というわけではない夫婦のそばは居心地がよかった。前から夫婦と住んでいたかのようなそんな気分で、自分が座る場所や部屋の景色が、馴染みあるもののような気さえした。インターホンが鳴り、お母さんが「はーい!」と大きな声を出して、よっこい
2022年3月26日 17:10
気づくと霧の中だ。ごうごうと、なにかの鳴き声のような低い音が周りから聞こえてくる。しかし視界は真っ白だ。ちくちくとした地面。風もやたらと強い。なんでこんなところに寝てるんだ、僕。寒い。なんだ、ここは。なんで僕はここにいるんだ。朦朧としている。これが夢なのか現実なのかもわからない。とにかく腹が減っている。何か食いたい。カレーうどんが食いたい。そのまま、意