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秋の香り 【奥入瀬 24/9/11】

私の一番好きな樹であるカツラ。

秋を先取るように葉を黄色や茶色に染め、
早くもハラリハラリと葉を落としています。

カツラの脇を流れる小さな流れを覗くと
たくさんの葉っぱが浮かんでいます。

ほとんどがカツラの葉っぱ

紅葉真っ盛りのシーズンに入れば
色んな葉っぱが混ざるようになるので、
この何気ない場面を見るだけでも
カツラの冬支度の早さがよく分かります。

そして特筆すべきはその撥水性の高さ。

カツラの撥水性は以前にも紹介していますが
相変わらず見惚れてしまいます。


ケヤキとカツラ

他の葉っぱと比べると一目瞭然。
カツラは明らかに水を弾いています。

枯れてなお失われることのない撥水性。
濡れると困る理由があるんだろうか?

水を弾くことで有名な葉といえば、
間違いなくハスでしょう。

ハスは泥で汚れやすい環境に生息します。
葉が汚れると、葉が呼吸する為の気孔が
塞がってしまうので、それを避ける為に
高い撥水性を有していると考えられています。
コロコロと転がる雫がゴミや泥を
お掃除してくれるというわけです。

一方、カツラは森の緑の屋根を構成する
高木の仲間ですから、葉の大部分は
泥を被ることのない高さにあります。

う〜ん、なんでだろ?
撥水することで多大なメリットがあるなら
他の樹だって弾くようになってるだろうし、
カツラだからこその理由がきっと
あるんじゃないかと思うんですよね。

ひとまず今日のところは迷宮入り。
今度じっくりカツラと向き合ってみようかな。


なんでかな〜とぼんやり考えながら
眺めていた中で、一際目を惹く葉っぱが一枚。

魅惑的な色彩

心をグッと掴まれてしまいました。

たった一枚の葉が濡れているだけなのに
こうも多彩な色が生まれるとは…。


さて、雫に夢中になってしまいましたが、
今日のタイトルは秋の雫ではなく秋の香り。

黄葉したカツラの葉は甘い香りを放つのです。
葉が緑色の夏の間はしない、秋限定の香り。

カツラの名はその甘い香りから、
香りが出る樹「香出る(かづる)樹」が
由来だと言われています。

流れに揺蕩う葉を眺めている間、
ずっとカツラの香りに包まれていました。

カツラの甘い香りと、足元に転がるトチの実。
このふたつが揃うと秋の到来を強く感じます。

↑この記事の冒頭に使用したトチの実の写真、
さりげなくカツラの葉が添えてあるのは
実は理由があったのでした(^^)


今日はカツラの事を考えながら
眠りにつくとしよう…Zzz



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