[読書感想文]「祈りのカルテ」知念実希人
〈本の情報〉
タイトル:「祈りのカルテ」
著者名:知念実希人
出版社:角川文庫
刊行年:令和3年2月25日 初版発行
〈あらすじ〉(文庫裏表紙より引用)
新米医師の諏訪野良太は、初期臨床研修で様々な科を回っている。ある夜、睡眠薬を多量服薬した女性が救急搬送されてきた。
離婚後、入退院を繰り返す彼女の行動に、良太は違和感を覚える。彼女はなぜか毎月5日に退院していたのだ。胃癌の内視鏡手術を拒絶する老人、心臓移植を待つ女優など、個性的な5人の患者の謎を、良太は懸命に解きほぐしてゆく。若き医師の成長と、患者たちが胸に秘めた真実が心を震わす連作医療ミステリ!
〈感想〉
短編集で読みやすかったです。
研修医の諏訪野先生が研修先のそれぞれの科で秘密や悩みを抱えた患者さんと向き合って解決していくのですが私には謎が解けなかったので毎話新鮮に驚けました🤣
終わり方も良かった。
知念先生の『ひとつむぎの手』という作品も積読にしているのですがどうやらその作品に一人前の循環器内科医になった諏訪野先生が登場するみたいなのでより一層読むのが楽しみになりました♪
〈お気に入り文〉
p.67
『統計のトリックっていうやつだな。統計結果を自分に都合のいいように曲解して、とんでもない結論を導き出す。ただ、それにだまされる人も少なくない。そうなると、悲惨なことになる。効果の裏付けもない高額な民間療法を試しているうちに、癌が手のつけられないほどに進行して、命と財産の両方を失ってしまうこともあるんだ』
外科の冴木先生のこの言葉には、知念先生が読者に伝えたい事が詰まっているのではないかと思いました。
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