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シンデレラの幸せ

2024年12月20日(金曜日)

12月も半ばを過ぎて朝の気温もめっきり下がってきた。

いよいよ本格的に冬が来たなぁと最近は毎朝思う。

今年もあと残すところ10日だが、とりわけ今日は退社時にたくさんの人たちが集って飲食街に向かう姿を見て

「ああ、みんな忘年会なんだな」

と、より一層の歳末感を感じたのだった。

シンデレラ

シンデレラの話が一躍ポピュラーになったのは、1950年にディズニーが映画にした影響だ。

しかし、その原点を辿ると紀元前5〜6世紀にはすでにそれらしき寓話が確認されておりとても古いものだと言われる。

また各地に伝播する中でその土地の文化を取り込んで色んなストーリーに変化していく。

現状、確認されてる最も古い話では海賊に連れ去られた少女が娼婦になり、鷲に靴を奪われた。その靴を偶然手にしたメンフィスの王子と縁がつながり王妃となったようだ。

少し話が逸れたが、今回はシンデレラを紐解くのでは無い。

なので、一般的に知られるシンデレラのストーリーを想起して話を進めたい。

ハッピーエンド

シンデレラのラストは誰もが知るように、王子の妃として迎えられるというハッピーエンドな話だ。

そのシンデレラと対比して描かれるのは、継母の連れ子である二人の意地悪姉妹である。

不幸な美女であるシンデレラと、彼女を虐める継母&姉妹。

ストーリーはガラスの靴を発端にドンデン返しとなる。

ほとんどの人は「シンデレラ良かったね!」という気持ちになるだろう。そして同時に「意地悪な継母と姉妹め、ザマアミロ!」という気持ちも感じるだろう。

だが…果たしてシンデレラは「良かったね!」という状況なのだろうか。

父親の他界まで

詳しくは描かれていないが、美しくとても優しかったと言われる実母を彼女は亡くしている。

その後、貿易商を営む裕福な父親はシングルマザーと二人の姉妹を家族として迎え入れるわけだ。

前妻が美しく優しい人であったが、それを失った男の心の隙間を埋めたのだから、この継母の外見もきっとそれなりであろうし妻として迎えようというのだから少なくとも再婚するまでは控えめで優しい女性だった(演じていた?)のだと思われる。

しかし、その父親も病に倒れ他界してしまったのだ。

一旦ここまでのシンデレラの幸福度を振り返ってみる。

◯父親が貿易商で裕福な日々を送っていた。
◯母親は美しく優しい人だった。
◯シンデレラ自身も母親譲りの美しさと優しさを持っていた
◯母親を亡くした。
◯美しく優しい継母と姉妹が家族に加わった。
◯父親が他界した。

以上のようになる。

どうだろうか?

確かに悲しい出来事は多いが、金銭的なゆとりの中で成長してきており、尚且つお金では手に入らない「非常に偏差値の高いルックスと個性」を持ってるのはかなりの幸運だと言える。

一方、継母の連れ子である姉妹。

◯父親を亡くしている(もしくは離婚)
◯恐らく母親譲りの美貌は持ち合わせておらず。
   ※舞踏会で選ばれてないため
◯意地悪な性格はどうやら母親譲り
◯裕福な継父と、めちゃくちゃ美しい義妹ができた。

だいぶ不幸だ。かなりキツイ人生だったと言えると思う。

やっと金銭的なゆとりが感じられる暮らしになったが、今度はルックス面で毎日敗北感を植え付けられてしまうのだ。

父親の他界後

豹変した継母と姉妹達はシンデレラを下女のように扱い、虐げていく。
そんな折に開催される王子の妃探し舞踏会。
娘達に玉の輿を期待する継母と、やる気十分な姉妹。

置き去りにされたシンデレラは名付け親である老婆(妖精、魔女)の力を借りて舞踏会に参加する。

当然、王子の目に留まりハートを射止めるのだがタイムアップで走り去る。何故か魔法が解けないガラスの靴。

結局、この靴が証左となってシンデレラは王子の妃となる。

歯噛みする継母と姉妹。そして閉幕。

これがオーラスだが、ここまでシンデレラの幸福度はどうだろうか。

◯毎日冷たく扱われるが追い出されてはいない。
◯明確な経過時間は不明だが、そんなに長期間虐められた様子ではない。
◯魔法使いというチート仲間がいた。
◯母親譲りの美貌で舞踏会の参加者達を撃沈させた。
◯裕福な家庭からさらにランクアップして王妃に!

監禁時のグリフィスさん

どうだろう?苦しい期間はあったが、ベルセルクのグリフィスのように幽閉されたり拷問を受けていた訳ではない。
もともとチート級の美貌だったのに「魔法使い」というチート仲間もいて、かなり幸福度の高い状態はキープされていると思うのだ。

一方、姉妹は…

◯母親と共に財産を自由に使う権利を得た
◯自分達より美しい義妹をいじめる事で憂さ晴らしできた
 ※短期間
◯舞踏会に参加したが遅れてきた爆美女に王子を掻っ攫われた。
◯結局シンデレラは王妃となり、逆らうことも虐めることもできなくなった。
◯財産は残ったはず。

どうだろか?私としてはこの姉妹の方が圧倒的に不幸だと思えた。結局、自分達のルックスは舞踏会で完全否定されてしまったのだし、唯一の捌け口であるシンデレラは王妃という権力を持つ存在となってしまった。
私なら復讐を恐れてガクブルな日々になるだろう。

原典などでは、シンデレラは義姉妹を城に迎え入れるという圧倒的な勝者感も描かれており、彼女達はそこで王子の血筋のもの達と結婚するというエンドにはなっているが。

ここまでの話を考えてみると、シンデレラって実はほとんどの期間でハッピーだったよなと私は思うのだ。

むしろ義姉妹のことが心配でならないのである。

彼女らがこの世の春を謳歌できたのは継父の死後から舞踏会までのほんの短期間だったのだから。

シンデレラという寓話から学ぶ事があるとすれば

「なんやかんやで美女は強い」

という事かも知れない。

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