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tsubamechan
帰ってきたのは〜伝説の安心感 #毎週ショートショートnote
決心するまで散々悩んだ。
これでいいのだろうか。
何度も、引き返すなら今だとよぎった。
神様に聞いたら、オレが決めて進んだ先に伝説の安心感というものに出会えるハズだという。
そんなものがあるのか。
ミチ、結婚して8年。
喧嘩もするし、おふくろに似てきてうるさく言うが、それもオレのためを思ってだよな。
ケンタ、やっと授かったオレの息子。
いつも笑っている天使。
お前たちに恥じないオレになれるのだろうか。
ごめんな。
オレは目を瞑り、暗闇に落ちた。
憧れのヒール靴に脚を入れる。
肩肘張らないけどそれなりにちゃんとした服装にした。おかしくないかな。
なんて言われるかしら。
ひとつ深く息を吐いて、あたしは玄関のドアを開けた。
とーちゃん、おかえりーー!!!
あ、かーちゃんか。
どっちでもいっか、家族だもん。
ミチとケンタが笑ってあたしにハグする。
さあ、新しいとーちゃんに乾杯だ!
ケンタがクラッカーを鳴らした。
ありがとう。
伝説の安心感があたしを迎えてくれた。