10.【ひとりっ子の私と親の終活】認知症の父が、かたくなに病院に行くことを拒んだ場合の対処法
ひとりっ子の私が、87歳母の入院と86歳認知症の父の終活にバタバタする日常を書いています。前回のお話はコチラ↓↓
実は、父の様子がおかしいなと思ったのは2019年頃で、その時駆け出しの終活講師だった私は、仕事で得た知識を使って、実家の管轄の認知症初期集中支援チームに依頼したことがあります。しかし、その際の簡易検査では、「認知機能に衰えが認められますが、現段階では、要介護要支援認定は下りないと思うので、支援を受けることは難しい」という判断でした。
その後、明らかに認知症だな、とわかる言動が増えてきたので、何度か、病院に行って検査を受けさせようと試みましたが、断固拒否され今に至ります。
しかし、母が入院し、父だけが実家に残されて、衣食住の身の回りのことができない、日常生活がままならない状態になってくると、私がすべて面倒見るわけにもいかず、これは、今こそ立ち上がるべきかもしれない、と昨日、何度目かわからないけど、かかりつけ医について、父に話を切り出してみました。
私:「介護保険料払ってるやろ。年金から天引きされてるやん。あれ、健康保険と違って、すぐに使われへんねん。」
父:「そんなん、払ろてるか?知らんなぁ。」
私:「介護保険証がクリアファイルに入ってたわ。だから自動的に天引きされてるんやけど、要介護認定を受けないと、使いたいときに使われへんのよ。」
父:「そんなん、ワシわからん。」
私:「今、お父さん、どこにも(医者に)かかってないやん。要介護認定を受けるには、かかりつけ医の意見書っていうのがいるんよ。だから、久々に〇〇医院に行ってみよか?」
父:「なんで、どっこも悪ないのに、医者行かないかんのや?」
ごもっとも。
父はどこも悪くないと自分で思っているので、なかなか動じません。
しかし、昨日実家の管轄の地域包括支援センターに電話で「要介護認定を受けたいのだがどうすればいいか」と聞いたところ、「医者の意見書が必ずいります」と。「かかりつけ医がいないのであれば紹介しますが、認定が下りるまで約2か月かかります」と言われました。これは今やらないと厳しいなと思ったので、私も引かずに、話を続けます。
私:「もし、お母さんが退院してきても、今まで通りにはいかんよ。買い物も掃除も洗濯も、ご飯も手伝っていかないとあかんしね。」
父:「わかってるがな。そやけど、手伝おうと思ったら、お母さんが嫌がるんや」
ああ、これ、昨日も書いたけど、自分の段取りややり方を変えられると嫌がるのは、昭和のガチ専業主婦に非常にありがちなパターンです。ここは父母双方の意識を少しずつ変えていかないといけませんが、その前に、要介護認定の話。
私:「先生の意見書がないと、要介護認定うけられへんのよ。もし認定が下りたら、ヘルパーさんに家事を助けてもらうことができるかもしれへんよ。」
父:「そうか。そんなんできるんか」
私:「介護保険は、そんなサービスもあるねん。だけど、認定下りなかったら使われへんから、今のうちにかかりつけ医に相談して意見書書いてもらわなあかんねん」
父:「ワシはそういうことは、ようわからん。言うとおりにするから、全部やってくれたらええ」
おお。
やっと「全部やってくれたらええ」という言葉が出てきました。懐疑的だった態度が変わったのは、やっぱり、母が入院して、毎日の生活に張りがなくなり、不具合も生じてきたからに他ありません。父は、「ワシはこれからどうなるんや?」という不安にさいなまれて、娘の私しか頼るところがないと思ったのでしょう。時間をかけて、何度も違う角度からアプローチして、ようやく父の容認の扉が開きました。このチャンスを逃さず、要介護申請に動きます。
ピンチは、チャンス。
(使い方、あってる?)
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