摂食・嚥下のしくみ
摂食・嚥下とは、
食べ物を認識して、
咀嚼し、口腔から咽頭、
食道を経て胃に送り込む
という一連の流れです。
①先行期(認知期)
目で見て食べ物を認識する時期です。
②準備期(咀嚼期)
食べ物を口腔内に入れる時期です。
③口腔期
歯と舌を使って食物を
塊にして咽頭へ送り込む時期です。
④咽頭期
食塊が食道へ
送り込まれる時期です。
喉頭蓋が閉じて気管に
入るのを防ぎます。
⑤食道期
食道の蠕動運動により
食塊が胃に送り込まれる
時期です。上食道括約筋が
収縮して食塊が咽頭へ
逆流するのを防ぎます。
摂食嚥下障害のおもな原因として、
脳血管障害後遺症
脳性麻痺
パーキンソン病
認知症
うつ病などが
あげられます。
【摂食嚥下のしくみ】
・先行期に生じやすいことは・・・
食物を食物と認識できず食動作が始まらない、
疾病により嗅覚が障害されて食欲と結びつかない、
自分の適切な食事のペースが解らず
どんどん口に詰め込んでしまう等の様子
もみられる場合があります。
・対応
食事に集中できる環境を整えたり、
声かけなどで食事に意識を向けられるようにします。
またペースが速い場合、
スプーンを小さくしたり、
皿に小分けにするなどの工夫を行います。
長く口腔内にため込む場合は、
目の前に次の一口を示すことで、
食事がスムーズに進むことがあります。
また食器具を変えたり
環境を変えたりすることが
効果的な場合もあります。
・準備期に生じやすいことは・・・
食物を咀嚼したり押しつぶしたりできず、
食事に時間がかかったり、
食物をそのまま丸呑みしてしまう
リスクが高まります。
その次のステップである口腔期が不良であると、
咀嚼されていない食物がそのまま
咽頭や喉頭に落下したり、
十分咀嚼できていない
食物で窒息してしまう危険性が
あります。
また咀嚼運動がみられても、
残存歯数が少なく
義歯などが装着されていなければ
準備期に問題が生じやすくなります。
・対応
適応できるのであれば義歯を装着したり、
口腔機能を適切に評価して
食事形態を調整することが必要となります。
そのため実際に普段食べている食品の
摂取状況を観察することが重要です。
・口腔期に生じやすいことは・・・
口腔機能と摂取している
食事形態が一致しない場合など、
食物を上手く咽頭に送り込めず
食事に時間がかかったり、
口腔内に食物が多量に残留したり、
食物の舌によるコントロールが
できず咽頭に落下してしまい
窒息につながるリスクが高まります。
・対応
口腔期が不良で、咽頭期が良好、といった
場合は咽頭期になるべく
アプローチしやすい食形態にする、
介助具・自助具などを利用することも効果的です。
また、食事時間が適切かを確認したり、
食後の口腔内残留を確認し、
残留があれば一度食形態を
変更して残留具合を比較する対応が必要になります。
食物にまとまりやすいあんをかけたり、
座っている椅子をリクライニングするなど
食事中の姿勢によっても改善する場合があります。
・咽頭期に生じやすいことは・・・
食物や水分の咽頭流入と
嚥下反射惹起のタイミングが
ずれて誤嚥する、咽頭収縮力が弱くなり
咽頭に残留しやすくなる、
残留物を誤嚥する、食道入口部が開大せず
食物が飲み込めない、
といったリスクが高まります。
・対応
嚥下のタイミングがずれて
誤嚥する場合には、
水分に増粘剤を混ぜて適切に調整する、
一口量を少なくする、反復嚥下をする、
左右向き追加嚥下をする、
食形態を変更するなど様々な工夫で
飲み込みやすくしていく必要があります。
・食道期に生じやすいことは・・・
食道逆流や停滞が生じたり、
逆流物の誤嚥、通過障害などが
みられる場合があります。
咽頭期に問題がなくても、痰がらみが消失しない、
食後のげっぷやむせが多いなどの
症状もみられます。
・対応
胸のつかえ感や胸やけ、逆流感がある人は、
消化器内科など専門医への受診が必要となります。
また食事の1回量を減らして回数を増やす、
追加嚥下や食後の座位を保持することも
有効となる場合があります。
摂食嚥下に不安があるときには
5期のどこに原因があるのかを
観察・アセスメントし
適切な食事形態で
誰もが食事を楽しめるようになると良いですね。
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