見てほしい。4年間伸ばし続けている髪。
ラプンツェルや平安時代が好きだけど、意識して伸ばしたんじゃないよ。放置したらこうなった。いつも日本に帰った時に髪を切るけど、パンデミックで日本に帰るタイミングを失ってしまった。
さすがにもう美容院行こうかなと思ってた矢先、カナダの友人、見知らぬ人が声を揃えて「切るなんてもったいない!」と言う。
「長い髪、羨ましい!」
「ゴージャスね」
「すごく素敵!」
「ヘルシーな髪」
私の髪を褒めてくれる人は、髪を伸ばしたいけど伸びない?らしい。だからゴージャスで素敵なんだとか。
旦那さんも私の長い髪はどんなアクセサリーよりも素敵、と褒めてくれる。次は肩くらいまでバッサリ切る、と宣言したら「俺の大事な髪が〜!」としがみついてくる。いや、私の髪だからね。
おもしろいのが、たまに日本の人にはこう言われる。
「邪魔やん。切ったら?」
平安貴族女性は長い髪が美人の条件のひとつだったし、日本では「髪は女の命」と言われてきたくらいなのに、長い髪に顔をしかめる人が多い。
なんで?
幽霊のイメージが強くなってるせい?髪が伸びる人形とか?髪長い=怨念、みたいな?無意識に怖いのかな?それとも単に不潔 or 鬱陶しいのかな?
食品を扱うところで長い髪を垂らすのは、衛生面が気になると思う。育児をしている人、体を動かして作業する人も髪が長すぎると邪魔だろうな。
実際ここまで伸びると、私も邪魔だと思う時もある。
ジャケットのポケットの中に髪が入る
椅子に座るとお尻で髪を踏む
爆睡してる旦那さんが私の髪を下敷きにする。彼を起こさないように引っこ抜くのも一苦労
あと何気にお風呂が大変。私が住んでいるところはトイレ、洗面台、バスタブがひとつになったバスルームだから、バスタブの中に立ってシャワーをする。髪を洗ってたらお尻の割れ目に髪が挟まって気持ち悪い。せっかく髪、洗ったのに…。切れ毛も多いから、排水口のネットに大きな毛玉ができる。ちょっとホラー。
お風呂上がりは水が床に滴り落ちないようにタオルで髪を巻く。でも髪の方が長くて毛先をタオルの中に収められないし、量も多いから重い。頭の上に枕を乗せている気分。お風呂は冬だと4日に1回くらいしか入らないから、まだ楽かもしれない。
髪のケアは何もしていない。お風呂上がりは自然乾燥。あとはたまに髪をとくくらい。旦那さんにといてもらうこともあって、毛先をとく時は彼の声が遠くなる。そうやって自分の髪の長さを知る。おもしろい。
実は旦那さんも髪が長い。ツヤとハリのある黒髪。彼も色んな人から褒められている。
彼のお母さんは2年前から、テレビ電話をするたび「あんた、まだ切ってへんの?」と笑っている。旦那さんは自分の長い髪も気に入っているみたい。最近のお母さんの「まだ切ってへんの?」は、「元気してんの?」と同じ感覚で言ってると思う。髪を切らないと分かっていながらの確認。日本人男性でこんなに長いのも珍しいかもしれないな。
夫婦揃って、毛がよく切れる。服の間、布団の中、靴下の間からツーっと出てくる。どこにでいる、私たちの髪の毛。カーペットを掃除すれば、野球ボールくらいの毛玉が完成。
髪をおろしていると大変だけど、普段はお団子にしているから生活に支障はない。あと長い髪をキレイだと自分でも思えるようになってきたから、とりあえず今はこのままでも良いかな。日本に帰る機会があれば美容院に行くつもり。
髪を命と思ってないけど、うまく言葉にできないんだけど、髪を褒められるのは”日本人”である自分を誇りに思う。