
古典が苦手だった私が楽しめた、おすすめの本:『物語』編
学生の頃、私は古典が苦手だった。でもいつの間にか、国語便覧に大きく掲載されている有名作をほぼ読破した。私にとって、読みやすくて親しみのある古典本(電子書籍版)を紹介。
おすすめの古典は全部で15作品。文字数と熱量が多くなったため、4回に分けて投稿する予定。
第3回目の今日は、『物語』編。タイトルに『物語』がついた作品を紹介。
第1回
第2回
🍁伊勢物語
伊勢物語とは?
主人公の在原業平が様々な恋愛と旅をして、自分の生き方や人との関わり合いを見つめていく物語。恋愛がメインの短編小説で、簡単に言うと、「恋愛旅行記」。
『眠れないほど面白い『伊勢物語』―歌人・在原業平の雅びで大胆な恋と人生』 岡本梨奈
本の内容
・文字主体だけど挿絵あり
・在原業平が主人公となって、お話が進む
・本編を忠実に再現するより、親しみとおもしろさ重視
・現代語と解説には、訳した人の解釈もあり
・『ざんねんな万葉集』と同じ著者
感想
抱いた女性の数は1,000人以上。90歳のおばあちゃんから人妻まで、ストライクゾーンが広い。主人公は色んな人と恋に落ちながら、心に決めた人は、たった1人の女性。でも身分の違いで結ばれなかった。モテ男にも叶わない恋がたくさんあった。
彼の繊細な心、知性とロマンチックさに魅了される。気がつけば、この物語から目を離せなかった。
🍁平家物語
平家物語とは?
平家一族の栄枯盛衰を描いた物語。軍記物語に分類されるけど、私は「一族の、命をかけた失敗談」だと思っている。栄華を極め、その一族が没落していくところに人間の強さ、弱さ、美しさ、残酷さが垣間見える。
『じつは面白かった平家物語』 小林賢章
本の内容
・文字が主体
・挿絵が多いのは冒頭だけ。あとはところどころに挿絵がある
・平家の栄華と滅亡までの流れ、登場人物のエピソードがメイン
・人間模様、心情にフォーカスされている
感想
私はこの本だけでなく、アニメの『平家物語』もおすすめしたい。日本の美しい四季に目を奪われるし、臨場感ある琵琶の弾き語りがカッコいい。人生の儚さ、未来が見えているのに何もできない主人公の無力感。
学生の頃は「祇園精舎の鐘の声」を暗記できなかったのに、今はもう完璧に覚えている。興味って大事。
🍁源氏物語
源氏物語とは?
光源氏の華麗な恋愛と貴族社会の複雑な人間模様を描いた長編小説。まさに、「豪華絢爛な恋愛ドラマ」。
『源氏物語』 まんがで読破シリーズ
本の中身
・Kindle Unlimitedに登録している人は無料
・今まで源氏物語を断念した人におすすめ
・絵は大げさな表現は少ないので落ち着いた雰囲気
・長編物語がコンパクトにされているため、エッセンスのみを抜き出して展開
感想
私は『源氏物語』だけはどうしても、読めない。原作の長さや複雑さに圧倒された私にとって、まんが形式はとっつきやすかった。人物関係や感情の変化が分かりやすく、心理的な抵抗感を大幅に軽減してくれる。
「まんがで読破シリーズ」は芥川龍之介などの文豪、シェイクスピアなど、各国の有名作品もまんがで読める。難しそうで敬遠してたものが、まんがで読みやすくなっている。
🍁今昔物語
今昔物語とは?
日本と中国の伝説や説話を集めた短編集。「日本の昔話(ホラー版)」って感じかな。
『今昔物語集 ビギナーズ・クラシックス』
本の内容
・Kindle Unlimitedに登録している人は無料
・文字が主体
・原文、訳文、寸評(解説)で構成されている
・原文の良さも味わいたい人におすすめ
感想
「月にうさぎがいる」と言うのは、今昔物語が元ネタだった。元ネタはもっと切なくて悲しい。月を見る度、私はこの話を思い出す。短い話が多いから、時間がないときでも気軽に読み進められる。
🍁宇治拾遺物語
宇治拾遺物語とは?
笑い話や教訓話が詰まった日本の説話集。現代の「ショート・ショート」みたい。
『宇治拾遺物語 ビギナーズ・クラシックス』
本の内容
・Kindle Unlimitedに登録している人は無料
・ショートストーリー形式
・笑いや教訓だけでなく、ちょっと不気味な怪談もあり、バラエティ豊かな内容日本の伝統的な説話や風習に触れられている
感想
『今昔物語』が好きな人なら、『宇治拾遺物語』も好きになると思う。
「亀」の話があるんだけど、これが『鶴の恩返し』みたいで面白い。現代の私たちが、子供の頃にどこかで見聞きした話のように思えて親しみがある。
物語はシンプルだけど、オチにインパクトがある。教訓も見どころポイントのひとつ。人の本質や心に訴えかけてくるものが多くて、自分の行いを振り返らずにはいられない。
:
古典は、私にとってただの古い書物ではなく、悩んだ時や辛い時に心を支えてくれる栄養書のような存在。怪しいスピリチュアルに頼るより、もっと早く古典を学んでいれば良かった。
明日で、おすすめの本紹介は最後。タイトルに『日記』がつく作品を紹介する予定。