酒は飲んでも、呑まれるな。カナダのトイレで倒れた話
慣れないことはする時は、慎重になろう。ワイナリーで酔っ払い、トイレで倒れた時に思った。
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カナダに留学して2ヶ月が経った頃、生活に慣れて気が緩んでいた。
私が留学したのは、ブリティッシュコロンビア州のケローナという町。ここはワイナリーが有名で、ホストママとパパがワイナリーツアーをしてくれた。この日は朝から4軒くらい回った。
どのワイナリーも広いぶどう畑があって、テラスから見える自然の景色が美しい。
ワインの試飲ができるけど、私は弱いからお酒を飲まないようにしていた。缶チューハイ1本も飲め切れないし、酔いが回るとすぐ眠くなる。
ママとパパはグイグイいっている。私はその場の雰囲気を楽しんでいた。
2軒目に行った時、ワインの香りが良くて少し飲んでみたくなった。飲んでみると、ぶどうジュースのように甘くて、ほのかにアルコールの香りと味がする。美味しいと思った。
「あれ?お酒いけるようになった?」と勘違いしたのがいけなかった。3軒目では、白と赤ワインを飲んだ。
4軒目で試飲した後、急にフワフワしだした。
「ちょっと座りたい」と思い、トイレに向かう途中で、目の前がグラグラし始めた。まっすぐ歩けない。トイレの表示が歪んで見える。フラフラしながら、何とか個室に入る。中は、車椅子の人が入れるくらいの広さだった。
便器に腰掛けて壁にもたれた。自分ではゆっくりもたれたつもりだけど、勢いあまって側頭部を打ち付けた。「いた!」と思った瞬間には、うつぶせで床に倒れていた。
ひゃ〜。床が冷たくて気持ちいい。ねむ〜い…
「アカン」と我に返った。一瞬だけ意識飛んだと思う。ここで寝たらママたちが探しに来て、色んな人に迷惑をかけてしまう。
だる重くなった体を起こす。グラグラがひどくなっている。ひとつひとつの動作が鈍く、色んなところに手をつきながら、やっと立ち上がった。トイレを出て壁をつたいながら、ママの元へたどり着く。
I’m drunk
とだけ言って、ママにもたれかかった。それ以上立ってられなかった。ママとパパに支えられながら、車に乗せられる。
顔だけがカッカして熱い。目の前がグルグルして気持ち悪い。ここまで酷い酔いは初めてだった。車のドアを開け放して、パパは水を買ってきてくれて、ママは私の顔を仰いでくれた。
少し気分がマシになった頃、すぐに帰宅。2人に謝って、お礼を言ってからベッドに直行。
起きたら外は真っ暗。リビングに行くと、ママとパパはテレビを見ていた。調子が良くなったことを伝えると、2人は笑った。
ママに「ワインはゆっくり飲むものなのよ。」と言われる。
慣れてないのに、ママとパパのマネをしてグイグイいったのが良くなかったようだ。だから酔いの回りが早かったんだろう。お酒はやっぱりダメだ。
もう二度と、飲まないと決めた。
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