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役員研修、なぜ行われないのか?

会社の経営を担う役員の能力開発は極めて重要です。

当然、役員の能力が上がれば、経営成果も最大化されるのは間違いありません。

にも関わらず、役員研修を行う企業は少数です。

ここまで投資対効果の高い取り組みが、何故あまり行われないのでしょうか?


役員研修を行わないのは「多忙だから」は本当か?


役員研修が行われない理由として、まず思い付くのは「役員の多忙」ではないでしょうか。

どんな企業の役員も極めて多忙です。現場からの報告や組織マネジメント、経営の意思決定など、日々の仕事に忙殺されています。

こうした状況の中で、研修に費やせる時間は限られています。

しかし、この「時間が足りない」との理由だけが、研修を行わない理由なのでしょうか?

おそらく、名目だけの"役員"を除き、しっかり経営に取り組む役員ならば、自身の能力開発に取り組む重要性は理解しているでしょう。

では何故、役員研修は行われないのでしょうか?


研修以外にも、能力開発の機会は存在する


理由はさまざま考えられますが、一つは研修以外にも多くの能力開発の機会が存在している側面はあるでしょう。

役員にとって、日々の仕事は大変なチャレンジの連続です。そして、それらチャレンジを乗り越えることで能力も伸びていくものです。

また、意外にも日々の会食や接待の場も学びの機会が豊富だったりします。こうした情報交換の場を通じて、他業界の動向や経営の実情などを知り、自社の経営に活きる学びを得られることもあります。


役員に対する期待役割によって、育成よりも交代の方が合理的


また、"役員"と言っても、取締役や執行役員など、立場によって期待されている役割も異なります。こうした立場の違いによって、能力開発に対する見方も変わるものです。

例えば、取締役というポストは、会社経営を任され、成果を出すことを求められる役割です。完璧な人材など存在しないことから、取締役も能力開発を行う必要性はあるでしょうが、本人の成長を待つほど余裕のある会社もありません。

取締役がその役割を果たすことが難しいなら、"育成"よりも"交代"してもらう方が合理的でしょう。


役員自身の「自分はできている」との錯覚が、能力開発に取り組まない理由も


役員本人が「自分はできている」と錯覚し、能力開発に取り組まない可能性も少なからずあるでしょう。

というのも、役員というポストに就くことのできる人材は、これまでさまざまな苦難を乗り越え、成果を出し続けてきた人材です。少なくとも、他の人材と比べても、能力レベルは一歩上であるのは間違いありません。こうした中で、もし周囲から見てその役員に成長の余地があるなら、学ぶ必要性を自覚してもらう必要はあるでしょう。

更には役員ポストに就くと、周囲からの成長に繋がるフィードバックは極端に減ってきます。こうした状況が続けば尚更、「自分には能力開発が必要だ」と感じにくくなるかもしれません。


研修だけでなく、他の手段とも比較しながら、役員研修の実施を考えたい


他にも、役員研修を行わない理由はたくさんあります。

また、役員の時間は経営成果に直結します。その時間を「役員の時間を研修に割くべきか」という視点から考えると、研修よりも仕事に時間を使ってもらう方が、投資対効果が高い可能性もあるかもしれません。

このような観点から、役員研修のテーマも自ずと限られてきます。個人的な経験から言うと、やはりテーマ的に多いのは「コンプライアンス」「ガバナンス」「リスクマネジメント」などです。これらは、法律や規則を遵守し、健全な会社運営を行っていくためにも不可欠な知識です。

他にも、経営スキルやリーダーシップ、リベラルアーツなどのテーマも存在します。選ぶテーマは企業の状況や役員のスキルによって変わりますが、重要なのは「その学びが実際の経営にどれだけ役立つか」です。

役員の能力向上は企業成長にとって重要ですが、役員研修を実施するかどうかは状況によります。そして、研修だけでなく他の手段とも比較し、場合によっては組み合わせることも必要でしょう。

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