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あなたの職場、ギスギスしているのはなぜ?ーー「インシビリティ」とは

職場がギスギスしているのは、ある人の"悪気なく"やってしまう無作法な発言や行動「インシビリティ」のせいかもしれません。

こうしたインシビリティは防ぐことができるのでしょうか?




悪気ないその発言、インシビリティかも…?


インシビリティ(Incivility:礼節の欠如)とは、他人に対する思いやりや配慮が欠けた行動や言葉のことを指します。これは、相手を意図的に傷つけようとする行動ではなく、むしろ無意識のうちに起こるものです*1。

例えば、
・「あなたも3年目だから、それくらい知ってて欲しいよね」といったやや突き放した行動
・会議の資料を事前に確認するように頼んだにも関わらず、それを無視する行動
・廊下ですれ違いざまに挨拶したのに、無視するといった無礼な態度
などが挙げられます*1。

こうした対応はハラスメントまではいかないのですが、昨今問題視されつつあります。皆さんの中にも、こうしたインシビリティに遭遇したご経験をお持ちではないでしょうか?

この問題の難しいところは、行動を起こした本人に自覚がないことです。不快にさせようという意図もなければ、傷つけるつもりもありません。まさに"悪気なく"やっているのです。

しかし、このインシビリティを放置しておくと、職場の雰囲気が悪化し、いじめやハラスメントにつながることがあります。さらに、職場全体の生産性の低下や、社員のメンタルヘルスの悪化に発展する可能性もあるのです。

では、職場のリーダーはどのようにこの問題に対処すべきでしょうか?

インシビリティはなぜ起こる?3つの要因から解決法を探る


問題に対処するには、まず原因を探ることが大切です。その手がかりとして、ピースマインド社の記事を読むと、インシビリティの背景として次の3つの要因があるとしています*1。

① 性格特性:1つ目は性格特性です。「他者への共感性が低い」場合、「自分の言動によって他者がどのような気持ちになるか」を想像することが難しく、無意識のうちにインシビリティにあたる言動をしてしまうことがあります。「他者への共感性が低い」という性格特性は案外ありふれたものであり、珍しいことではありません。

②生育環境:2つ目は生育環境です。「インシビリティにあたる言動が当たり前の環境で育った」場合や「親子関係が希薄、あるいは好ましくない環境のもとで育った」場合が当てはまります。自分の中では「普通」「当たり前」と思っている言動が、他者にとってはきついものであったり、失礼に受け止められることがあります。

③個人の価値観:3つ目の個人の価値観は、その人の経験によって構築された価値観を指します。「若いうちちの苦労は買ってでもしろ」「管理職は優秀であるべきだ」といった考え方は、それぞれの人生経験によって培われた価値観によるものといえるでしょう。しかし、このような価値観に基づいた言動が人を不快にさせることに気づいていないケースも、少なくありません。

https://www.peacemind.co.jp/workingbetter-info/55

これらの要因を見ると、インシビリティを防ぐのはそう簡単ではないことが見えてきます。一方で、いずれも「本人の認識」に関わるものなので、相手の認知に働きかければ少しは改善できる余地もあるかもしれません。

では、リーダーはどうすればよいのでしょうか?

その本人が自己認識を深めてもらうためには、リーダーがメンバーに対してフィードバックを行うことは有効でしょう。こう書くと月並みなように聞こえますが、やはり自分の行動や言動が相手にどの受け止められているのか、しっかりと伝えることは大事だと考えられます。

その際、個人的に特に意識したいと思うのは、「無理に相手を変えようとしたい」ということです。「あなたの~~という言動が、不快な気持ちにさせている。改善せよ」と言っても、本人に自覚がないのだから、なかなか受け止めるのは難しいものです。したがって、伝え方として「私にはあなたの~~はこう見えている」とそっと伝えてあげて、相手が変わるのを待つことが実は最も効果的ではないかと感じています。


(参考情報)

*1 ピースマインド株式会社「なぜあの人の言動は職場の雰囲気を悪くするのか?インシビリティ(礼節の欠如)による組織への影響と行動変容のポイント」https://www.peacemind.co.jp/workingbetter-info/55(2024年6月6日アクセス)

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