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「え、知らなかった!」ーー 5F分析の根底にある考え方とは

経営分析の際、頼りになる「5F分析」。

アメリカの経営学者であるマイケル・ポーター(Michael Porter)氏が提唱したもので、ビジネスパーソンにも広く知られているフレームワークです。

さまざまな記事や書籍でその分析手順が紹介されていますが、改めてその根底にある考え方を見てみましょう。




5F分析は「5つの競争要因」から業界の魅力度や力学を捉えるフレームワーク


5F分析は、買い手の交渉力、売り手の交渉力、業界内の競争、新規参入の脅威、代替品の脅威の5つの競争要因から「業界の魅力度」や「その業界に働く特有の力学」を分析するフレームワークです。

マイケル・ポーター氏が1980年に発表した著書『競争の戦略』において、初めて提唱されました。本書は今なお多くの経営者やビジネススクールで学ばれています。


今では5F分析はその使い方が広く知られていますが、興味深いのはその裏に潜む考え方です。ポーター氏が本フレームワークを通じて言いたかったことは、一体何なのでしょうか?


ポーター氏の主張は、単純明快で奥深い


結論から言えば、ポーター氏の主張は「競争が激しい業界にいれば収益性は低くなり、競争が限定的な業界にいれば収益性は高くなる」という点です。

この単純明快なロジックこそが、5F分析の真髄です。

一方で、こう聞いて「なんだ、当たり前のことじゃないか」と感じられるかもしれません。ただ、5F分析が画期的なのは、次の2つの問いに答えた点です。

  1.  どの条件が整えば競争が激化し、収益性が低下するのか?

  2.  どの条件が整えば競争が抑制され、収益性が向上するのか?

「当たり前のこと」で終わらせず、競争の激しさや収益性に影響を与える条件をシンプルに提示した点に、このフレームワークの素晴らしさがあるのです。

5F分析を行う際は、こうした考え方を踏まえ、「今から参入する業界は、本当に魅力的なのかどうか?」「どの競争要因を攻略すれば戦略的に優位に立てるのか?」といった仮説を立てることが重要です。

改めてその使い方への理解を深め、自社の成功に向けて活用していけると良いですね。

(参考文献)
M・E・ポーター著、土岐 坤、中辻 萬治、服部 照夫訳 (1995)『[新訂]競争の戦略』ダイヤモンド社

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