『戦と乱』韓国映画の現場で生で見た高技術、メイクアップアーティスト編
韓国で時代劇の撮影を行った時に、
メイクチームの付け髭技術に深く感銘を受けた。
数本程度のフェイクの髭を小さな束にして、
順番に貼り重ねるという繊細な作業は、
まるで本当に生えているようなリアルな髭を生み出していた。
ハリウッドや英国からも引く手あまたの、
韓国のメイクアップアーティストたちの、
技術力の高さに、改めて驚かされた。
本作はメイクだけでなく、
シナリオ、芝居、アクション、VFX、
カット割り、音楽に至るまで、
細部にわたって作り込まれたエンターテインメント時代劇だ。
刀を口に入れたり、刃を指先でつまむなど、
無駄のない演出も効果的で、各キャラクターの魅力を引き立てている。
倭寇の鎧が韓国風にアレンジされている点も、
独特のスタイリッシュさを生み出しており、
「パミョ」の武将の鎧との比較も興味深い。
(「パミョ」は皇系の名前だったのであえてあの鎧にしたのかもしれない)
歴史考証の面では、秀吉に明確に言及している一方で、
政敵を倒した後の鎮魂、怨霊に祟られないような儀式等の、
日本独特の風習に関しては「パミョ」同様、
どこまで射程に入れているのかは不明だが、
弥勒菩薩像風のお宝など、エンタメを優先させた、
フィクションと史実を混同させた描写のセンスはいい、
また、
【おまえはまだ友か】
のような、
ベタ過ぎるベタベタのセリフ、
タイミングを誤ると、
ドン引きしてしまう、
流れ、タイミングで、
観客を引きつけてしまう、
これ大事なベタ。
この【ベタ】、
見た事ない風の【設定や世界観】、
古今東西、
映画、アニメ、小説、マンガ、
すべてのエンタメの源泉はこれだけ。
美味→うま味→グルタミン酸ナトリウム、
のように言うとこれだけ。
最後に、
大量のスモークを使用したシーンでは、
フォーカスやライティングが難しかった事が伺え、
技術的な課題も高いレベルで存在している。