【脱・年功序列】勤続年数や年齢への依存は、チームビルディングを阻害する。
「企業に長期間在籍していれば、それだけでベースの給与額がアップする。」
うちは年功序列ではない!と言いつつも、そのような給与体系が残っている企業は、意外と多かったりします。
もちろん、年齢給や勤続年数に応じた評価の仕方の全てを否定するつもりはありませんが、本当に強い組織を作るためには、一人ひとりの成果に対する公正・公平な評価が非常に重要です。
今回は、年功序列に応じた給与体系「年功賃金」が、チームビルディングするにあたってどのような影響をもたらすのかついて考えていきます。
年功賃金と日本経済の歴史
まずはざっと、歴史を振り返ってみましょう。
高度経済成長期の日本では、年功序列型の人事評価制度として、勤続年数が長いほど給与も上がるという制度を取り入れる企業が多く存在しました。この給与体系を「年功賃金」といいます。
勤続年数や年齢に応じて固定給が変わることから、一つの企業に長く在籍するほうが一定の給与を獲得できるということもあり、当時は終身雇用が主流となっていました。
企業側としては、長期間人財を雇用することで、ノウハウを蓄積できるというメリットがありました。労働者にとっては、戦後の貧しい時代から安定した収入を確保し続けるためにも、年功賃金の形で収入を上げていくことはメリットがありました。そのため、年功序列による年功賃金の制度は、高度経済成長期を支える日本の原動力にもなったのです。
しかし、バブル崩壊を発端に、企業同士が生き残りをかけた競争を繰り広げることに。
さらに、近年の少子高齢化に伴う労働人口が減少していることから、今までの年功序列制度では日本経済の成長の幅が小さくなることが懸念されました。
企業は、生き残りのためには優秀な人財を確保するために必死になります。
そこで、従来の年功賃金ではなく、年齢関係なく優秀な人財を獲得するために、成果主義の評価制度が徐々に浸透してくるようになったのです。
年功賃金のメリット・デメリット
では、年功賃金のメリット・デメリットについて今一度整理していきましょう。
■メリット
・従業員の定着率が上がる
・従業員は安定した給与がもらえる
・長期的な育成計画が実現しやすい
従業員からすれば、長く在籍すればするほど固定給が上がるため、1つの企業で長く在籍している方が、給与面に関しては正直、得をすることが多いでしょう。
また、企業側としては、従業員が長く在籍するだろうと見込めるので、長期的な従業員の育成計画を立てやすく、長期的な視点で事業成長を見込んだ施策を行うことができます。
そして、競争意欲が少なくなることから、従業員同士の意見のぶつかりなどもない職場環境にもなるでしょう。
■デメリット
・優秀な従業員のモチベーションが下がる
・人件費が圧迫される
・生産性や効率が下がる
年功賃金を取り入れていると、どれだけ若手で優秀な従業員がいたとしても、その頑張りに見合った給与を支払うことは難しくなります。「だれでも安定した給与」という面では、年功賃金の良さが出ますが、一人ひとりの頑張りや成果を評価するという面では、マイナスになってしまうのです。
また、極端な表現をすれば、頑張っていても頑張っていなくても、勤続年数さえ経っていれば給与が上がっていくのが年功賃金の仕組みです。なので、成果を残していないけれど長期間在籍している従業員に対する人件費で、企業が圧迫されてしまう恐れがあります。
そうして、優秀な従業員に適正な評価を下せないことで、そういった従業員が離脱してしまい、チームや組織自体が生温い空気感になることで、結果として成長速度が減速してしまうことが懸念されます。
チームとして衝突もなく従業員同士が仲良くあり続けてほしい、そして、長く勤続することを評価する、という企業であれば、年功賃金を取り入れている方がうまくいくでしょう。
しかし、そういった環境は、これからの社会の変化に適応し、組織を強くするためのチームビルディングに繋がるものなるのでしょうか?
チームビルディングには、個人がもつ責任とスキル向上が必須
チームビルディングとは、メンバーが自身の能力を発揮しながら、チームとしての目標達成に向けて主体的に動いていく施策です。
単に個人の能力だけが高くなることを目指すのではなく、あくまでも「チーム目標」に向けて各個人が自分の持つ能力を高めながら、いかに目標達成に向けて協力しあえるか、という点がポイントです。
そして、チームビルディングをすることで必ず実践しなければならないことが、「生産性の向上」です。
目標に対して、チームに属するメンバーが自分の責任を明確にし、スキルを向上させていかなければ、生産性は上がりません。
「一人ひとりの役割や責任の明確化」と「スキルの向上」によって、メンバーは主体性をもって業務に取り組み、生産性向上に繋がると考えます。
チームビルディングがもたらすさまざまなメリット
チームビルディングを行うことによって、生産性の向上が図れるだけでなく、ほかにもさまざまなメリットが見込めます。
ひとつは、高いモチベーションを維持できることです。
チームとして目標達成に向けた結束が高まることによって、お互いが常に刺激しあえる環境が整います。一人きりだと、常に高いモチベーションを維持することは容易ではありません。しかし、チームとして鼓舞しあえる環境があることは、組織にとってとてもプラスな影響となります。
また、そのようなチームビルディングができると、目標達成に向けてメンバー同士が知恵を出し合い、一人では生み出せなかったプラスαの力が生まれるのです。その結果、事業成長をより一層あと押ししてくれる可能性があります。
貢献度(成果)を公正に評価してこそ、従業員は成長する
今の時代、正しくチームビルディングをし事業成長に導くためには、年功賃金の制度はマイナスな影響を与えることが多いと考えています。
優秀で、会社の事業成長に貢献してくれる従業員をいかに大切にできるか。
優秀なメンバーが離脱しない組織をつくり、事業成長を図るためには、貢献度を公正に評価できるように人事評価を再設計する必要があります。
年功賃金を取り入れている場合はもちろんのこと、そうでない経営者の方にも、今一度、自社の人事評価が、労働時間や勤続年数に対してではなく、組織への貢献度や成果に対して公正・公平な評価ができる内容になっているかを見直すきっかけにしていただければと思います。
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