書籍【東大教授が語り合う10の未来予測】読了
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◎タイトル:東大教授が語り合う10の未来予測
◎著者:瀧口友里奈(編)
◎出版社:大和書房
未来では地球はどうなっているのか?人間はどうなっているだろうか?そんな時代に自分はどうすべきなのか?
本書で語られていることが、未来で本当に起こるのかと訝しんでしまう。
しかし、東大教授の大天才たちは大真面目だ。
未来予測という単純な話ではない。
自分たちが想像する未来世界を、自らの手で創り出そうとしているからだ。
具体的な研究作業の中で手応えがあるからこそ、確信を持って未来を語れるのだろう。
本書内で語られている話を突拍子もないものと捉えるか、それとも実現可能と捉えるか。
人間の脳にチップを埋め込んで、お互いに通信をし出すという話があるが、この話に実現性はあるのだろうか?
もし実現性があるとすれば、どれくらいの時間軸を想定しているのか。
教授陣の話を総合すると、これらの事象はそんなに遠い未来の話ではない。
もしかすると10年やそこらで実現してしまう話なのかもしれない。
少なくとも技術的には、我々世代が生きている内に実現してしまう。
そうなったら、社会はどんな風に変化するのだろうか。
他人の能力を簡単に自分にコピー出来るようになる。
当然知識においては、すべてが共有可能となり、学校で学ぶ必要性すら問われる可能性がある。
情報が脳と脳との間で共有できるならば、SNSもスマホも電話も必要なくなるだろう。
もはや、人類の進化とすら言える時代が訪れる。
大量の情報を頭の中(のチップ)に詰め込まれた我々にとって、「自分」という個性はどう変化してしまうのだろうか?
そもそもデータ共有、情報共有化の中で、たった一人だけで自分唯一の情報を抱え込むことが出来るのだろうか?
人類の多様性が叫ばれる現代で、未来には共有化による情報画一化に向かってしまう可能性もある。
そんなことを考え始めると止まらない位の話題であるが、もちろんおとぎ話でも何でもない。
実際にそんな未来がもうすぐそこに来ているということなのだ。
その時に、ビジネスはどう変化していくのか。
資本主義が存在するかどうかも分からない。
お金というものが消滅している可能性だってある。(姿形を変えて残っている可能性もある)
本当に人間の生きる意味が問われてしまうだろう。
もちろん、そんなことを考えることもなく、最先端の科学技術を無意識に受け入れて、日々暮らしていくことだってできる。
むしろほとんどの人がそういう暮らしをして、それなりに健康で、それなりに長寿で、あまり生活に苦労がなく、幸せに暮らしていくのだろう。
よくよく考えると、今現在だって、すでにそういう状況のはずなのだ。
日本で暮らす限りは、今日食べるものがなくてバタバタ人が死んでいく、という状況はあり得ない。
常に命の危険を感じて、高い緊張感を維持したままストレスを抱えて暮らしているという訳でもない。
蛇口をひねれば水が出て、スイッチを押せば電気が点く。
そのことに疑問を持つ人もいなければ、「どんな仕組みでどうやって動いているのか?」なんて興味を持つ人もほとんどいない。
きっと多数の人たちが無意識にテクノロジーを享受して生きていくのだろう。
そんな中でごくごく少数でも「生きるって何だろう?」とか「人間とは何か?」ということを考えることを止められない人が出てくるのだと思う。
結局、最先端技術の行きつく先は「哲学」の世界になる。
むしろ、テクノロジーとフィロソフィー(哲学)が融合していく話になっていくのだろうか。
すでに量子の概念などは、日常生活では理解できないレベルだ。
「重ね合わせの状態で、観測したから結果が確定する」とか言われても、すでに哲学的な説明であって、簡単には理解が追い付かない。
未来がどうなるのかを考えると本当に面白い。
ここに記載されていることのほとんどが実際に実現されるのだと考えただけでもワクワクする。
同時に「自分はどうしようか」とさえも思ってしまう。
本書で記載の通り、人類は間違いなく宇宙を目指すことになるだろう。
さらにバーチャル世界は当たり前になり、現実世界と仮想世界の差もほとんど無くなってしまうだろう。
拡張された世界の中で、人類はどこまで旅をし続けるのだろうか。
やはり会社でこんな話をしていたら、「それ仕事(会社)と何の関係があるの?」と言われてしまいそうだ。
しかし、間違いなく我々の生活に大きく関係してくる話だ。
そんな未来の世界を夢想しながら、次に自分が何をすべきかも考えていきたいと思う。
(2024/1/27土)