デマンドクリエーション(需要創出)からデマンドリテンション(既存顧客維持)にシフトする、ナイキの課題【Off Topic Ep232】
宮武徹郎と草野美木が、アメリカを中心とした最新テクノロジーやスタートアップビジネスの情報を、広く掘り下げながら紹介するポッドキャスト「Off Topic」。このnoteでは、番組のエピソードからトピックをピックアップして再構成したものをお届けする。
今回は「#232 NikeのD2C戦略は失敗だったのか 需要創出の重要性」から、DtoCのパフォーマンスマーケティングに焦点を当てすぎた、ナイキの課題について。唯一無二のストーリーテリングで成長とブランド価値を積み重ねてきたナイキ。同社が直面しつつある、隠れた課題とは? ナイキの元シニアブランドディレクターであるマシモ・ギュインコの批判から読み解いていく。
徐々に浮き彫りになる、ナイキの課題
売り上げの成長を続けるナイキ。一方時価総額をみると、過去9ヶ月間で700億ドル下落し、2018年以降でもっとも低い株価に。前回の東京オリンピックから比較すると、約1000億ドル下落している。
そうした状況のなかで、ナイキがDtoC(Direct-to-Consumer)でのパフォーマンスマーケティングに焦点を当てすぎた結果、いくつかの課題が浮き彫りになっていると、宮武は指摘する。そして、この現象はナイキに限らず、リテール業界全体、特にBtoC(Business-to-Consumer)ブランドやDtoCコミュニティ全体に共通する問題だとも。
現在、多くの企業がスケールや自動化、効率性向上を重視しているが、その一方で、ブランドのストーリーテリングやブランド価値が希薄になりつつある。この現象は特にミレニアル世代やZ世代が消費の中心となる中で顕著になりつつある。これらの世代はDtoC時代のマーケティングを目の当たりにして育ち、特に2012年から2019年にかけて、インスタグラムやGoogle、Facebookなどのプラットフォームでの広告が主流となり、企業が広告に投資すれば比較的容易にリターンを得られる状況が続いていた。
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