「ついしん。どーかついでがあったら…」【ネタバレ注意】
こんばんにちくわ。オオイシンゴです。
どお~~~しても書きたくなったので、少し前に読んだ
「アルジャーノンに花束を」への自分なりの感想を、
後半の展開を中心に述べていきます。
ネタバレしかないのでご用心くださいますよう…
チャーリイとチャールズ
”チャールズ・ゴードン”。
物語後半にて、チャーリイが二ーマー教授へ送った「アルジャーノン・ゴードン効果」という論文の末尾に書かれた、チャーリイの本名です。
この記事では、便宜上手術を受ける前、および終盤で知能をうしなった
チャーリイを「チャーリイ」、
手術によって天才になったチャーリイを「チャールズ」と呼ぶことにします。中盤ではたびたび「窓の外からチャーリイがチャールズのことを覗いている」という描写があるのですが、これは作中にも言及されている通り、チャーリイの人格が分裂し、チャールズという傲慢で孤独な青年が生まれたということだと考えています。
「さよならキニアン先生ストラウスはかせみなさん…」
物語の最後、チャーリイはアリス、もといキニアン先生と恋仲だったことを忘れてしまいます。
終盤のチャーリイは、天才だったころの知識、教養を失いましたが、それ以外の記憶、自分が天才だったこと、アルジャーノンや二ーマー教授、フェイなど、物語の中で起きた出来事、出会った人物の事は覚えているようでした。
しかしただ一つ、アリスとの関係については、「成人センターの先生」というところ、つまり天才になる前までしか覚えておらず、
また、この出来事はチャーリイがウォレン養護学校へ行くことを決めたきっかけでもあるのですが、その理由は
「恋人だったアリスのクラスに間違えて行ってしまった」からではなく、
ただ単純に「今は行っていない成人センターの教室に入ってしまった」
という理由だと考えられます。
なぜアリスとの関係だけ、しじつ手術を受ける前の時点まで忘れてしまったのか。ぼくは、消えていくチャールズの人格が、生まれて初めての恋人であるアリスとの記憶を持って行ってしまったのではないか、と考えています。
ドナー・ベイカリーに預けられて以降、仕事仲間やドナーさん以上、
つまり家族と同等かそれ以上に親密な関係を持っていなかったうえ、
発達した知能によって孤独になっていったチャーリイにとって、
アリスはかけがえのない存在でした。
チャールズは、アリスとの思い出だけはチャーリイに渡したくなかったのでしょう。
ちなみに
”アルジャーノン”という名前は、イギリスの詩人
「アルジャーノン・チャールズ・スウィンバーン」
からきているそうです。
突然ですが、「ARMORED CORE VI」というゲームに、
V.VIIスウィンバーンという人物が登場します。
スウィンバーンは、同作に出てくる「強化手術」(平たく言うと、
人間を「ロボットを動かす部品」として最適な状態に作り変える手術)
を受けており、その手術への恐怖によって矮小な性格になってしまった
という過去を持っています。また彼のエンブレムには
「鼻から前頭葉にかけて尖った棒を突き刺された人間の頭部」(いわゆるロボトミー手術。”アルジャーノン”の物語のモデルでもある)
が描かれており、その脳ミソは人間の胎児を思わせる形をしています。
そのエンブレムがこちら。(けっこうぐろいので閲覧注意っす)
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「アルジャーノン」とはあまり関係のない話ですが、好きなキャラの名前の元ネタを知ると書きたくなってしまうのです。
さいごに
三分の一くらいアーマードコアの話だった気がしますが、
この記事はここまでです。
ウン百回ウン千回と言われている通り、この「アルジャーノンに花束を」
という小説は素晴らしい作品です。
この記事が、この物語への考えを深めるきっかけになれば幸いです。
著者、ダニエル・キイスさんとオーリア夫人のご冥福をお祈りします。
ついしん。どーかついでがあったらうらにわのアルジャーノンのおはかに
花束をそなえてやてください。
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