酔鯨の土佐蔵に潜入すると圧倒的オートメーションにぶったまげた
高知に旅行して、酔鯨の土佐蔵を見学してきた記録を書き記す。訪れたのが2024/3末なので、はや1ヶ月が過ぎた連休に思い出しながら書いている。
酔鯨は、山内容堂が名乗った「鯨海酔侯(鯨がいる海の酔っ払い殿様)」にインスパイアされた名前らしい。ただ、くだんのお殿様は灘の剣菱LOVEだった話を以前に紹介した。
酔鯨のロゴには、全身の「シルエットロゴ」と、しっぽだけの「テールロゴ」がある。晩酌用にスーパーで買い求められるものがシルエットロゴ、プレミアム路線は後者のテールロゴっぽい。
おそらく蔵とも対応していて、高知市にある長浜蔵では大衆的なもの、今回見学した土佐蔵ではプレミアムなものをつくっているのだろう。
貴重な機会だったので工場見学の話をしたいのだけど、白衣に着替えて以降、カメラも持ち込めなかったので、言葉で伝えようとする。
全体の印象としては、ものすごくオートメーションが進んでいた。長浜蔵にあった問題点を改善しているエピソードも多かった。
まず入り口から、酒米を搬入してそのまま脱穀できる導線になっていた。
街中にある長浜蔵では騒音問題によって脱穀マシーンが使えないことがあるのを、土佐蔵では防音対策もしつつド田舎なので、マシーンをぶん回せる。
続いて、涼しくて高湿度な部屋に通された。脱穀で水分が飛んだまま蒸すとヒビ割れるので、しばらく寝かせて酒米に湿度を与えるのだそう。
次の部屋には、水に浸すマシーンや、お米を蒸すマシーンがあった。取り回しが重労働なところ、網に入れてクレーンで運ぶ。
麹米と掛米や、一度につくる量によっても事情は変わるそうだけど、蒸すマシーンから麹まぶすマシーンに繋いだり、ホースを使って2Fに運んだりできる仕掛けもあるらしい。
流石に、DAITOのような最上級のものは丁寧な手仕事で、運んで、まぜて、1本ずつ湯煎して…いるそう。
ホースで2階に上がってからは、温度制御されたウォーマー的な装置で寝かされる。蒸し暑い部屋でまぜまぜするのは大変そう。そこからは、小さなタンクで酒母がつくられ、大きなタンクに移して醸される。
タンク内には2Fからアクセスでき、床にマンホール的なものが規則正しく並んでいる。梯子から転落する事故は避けられるけれど、依然としてタンク洗浄などで中に入る際は二酸化炭素の濃度に気をつけねばならない。
各タンクの温度を常時監視しながら制御している。お家からタブレットでタンクを見守ったり、後から推移を辿ったりもできるハイテクぶりだった。
造りの順番を辿った見学コースで、後は酒粕をしぼる機械を観て、しっかり説明を聴いて、見学を終えてから試飲があった。
土佐蔵でできたお酒は、いったん高知(長浜蔵?)に運んでボトリング・ラベリングするらしい。でも、流石にSUIGEI STOREに並べるお酒を一往復するのも無駄だからか、店内にて手作業でラベルを貼っていた。
酔鯨と言えば、芳醇ながら穏やかさもありバランスの取れたお酒、土佐の郷土料理に合いそうな印象だった。
今回の見学でさらに、しっかり管理されていて品質が底上げされている印象、オシャレなイメージが印象が加わった。
流石にハンドルキーパーでかわいそうだということで、蔵限定の酔鯨をごちそうになりました。めでたしめでたし。