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おせんべいになっています

私は純米吟醸が好きだ!

…なんて言うと、「酒を特定名称で判断するな!」「美味しいアル添だってあるぞ!」「特別純米との違いわかってんのか?」(←正直わからん)などなど、詳しい人々からご指摘を受けるだろうか。

厳密には「私がイイネと思うお酒は、純米吟醸であることが多い」と言った方がシックリくる。ただ、厳密な言い回しをする人はオタクっぽいので、なんとなく避けている。

私好みの傾向としては山卸 or 山廃のどっしりした芳醇辛口が好き。大衆酒のアルコールが刺激する辛さとは違って、あくまで一定の上品さを備えた上で滲み出す個性に魅力が好き。味の語彙は乏しい。

私に大吟醸は勿体ない?

むしろこの話の本題は、「値段を気にしなければ大吟醸の方が美味しいんじゃない?」にある。そりゃあ確かに美味しいし、一口目からつい笑顔になっちゃうくらいの圧倒的な美味しさなものもある。

それでもやっぱり、私に大吟醸は勿体ないなと思う。優劣じゃなく方向性の違いとして捉えていて、「雑味」として削られる部分に面白さを感じる。そんな私からすると、わざわざ高い大吟醸を有難がって飲まなくても良いと言う気になる。

コスト問題とは別に、心のどこかに「精米歩合50%ってことは、お米の半分は捨ててるのか?」という勿体ない精神も働く。1粒の米には7柱の神が宿るとしたら、半分捨てると3.5柱/粒はどこへゆくのか?

思ったよりSDGsだった

新潟で精米歩合30%の大吟醸を試飲させていただいた際に、つい気になって「残りの70%はどこに行くんですか?」と質問した。すると、即答で素晴らしい答えが返ってきた。

「おせんべいになっています!」

思ったよりSDGsしていて、100点満点の答えだった。業界では当たり前なのか、他の地域(磨きに定評のある山口の酒蔵など)でも同じなのかは知らない。ただ、米どころ新潟だからこそすぐ近くにせんべい工場があって、輸送負荷をかけずおせんべいにできる説得力は強い。

新潟ぶらり旅の旅程として「せんべい王国」が近かったので立ち寄ると、職人さんが丁寧に手焼きしていた。ここに削られた酒造好適米が入っているのかは知らんけど、私が大吟醸に対して持つ些細な不安を吹き飛ばしてくれる光景だった。

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