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#0012 PFIは財政の平準化にはなるが、財政負担の軽減にはならないのではと思っている話

今更ながらも気付いた仕事のことを綴ろうと思います。


PFIとの出会い

2015年に私の前任者が担当していたフードビジネス会社から、同社が関与するPFI事業への融資の相談を受け、彼が少額のメザニンローン(劣後ローン)を取り扱ったことが最初の切っ掛けでした。

その後も彼は同様の引合いを受けて一生懸命トライを続けてきましたが、リース営業を行う部署にいたため、どうしても片手間になってしまい、積極的に事業を拡大することができませんでした。

そこで当時の私の上司が彼を私が所属する部署(リース以外のファイナンスを行う部署)に引き抜き、彼と私の2名体制で本格的にPFIの営業をするようになりました。

一人親方の始まり

その時の私は「PFIって何?」状態で、イチから勉強し始めました。

そして、新規案件を2件立て続けに成約したタイミングで、前任者が転職。

前任者のことを頼っていただけに青天の霹靂でありました。

その後は、営業して走りながら一つ一つ勉強していく感じで数字も稼ぎながらの戦いでした。

やりながら徐々に対応領域を拡大していき、今では出資・メザニンローン(劣後ローン)・リース・ファイナンスアドバイザリー(金融機関交渉・事業計画作成・融資事務)まで担えるようになりました。

会社の事業として認められ、ホームページに会社のサービスとして掲載されています。振り返れば、ここまで情熱を持って仕事が出来たことも、PFIの目的に惹かれた部分がありますが、やはり「いつか釧路で」という思いがあったからではないかなと思います。

こうして、私のPFI一人親方時代がスタートしたのです(2019年頃から2名体制になるも、2023年10月から再び一人親方に…)

PFIの目的

PFIとはPrivate Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブで…なんていう眠くなる教科書的な説明は内閣府のホームページに譲りましょう。

凄くざっくりと説明すると、これまで公共事業として行っていたもの(例:市庁舎整備、図書館の整備・運営等)を行政だけではなく、民間の資金や経営ノウハウを取り入れて、低廉且つ効率的な公共サービスを実現しようというもので、

超絶ぶっちゃけた言い方をすると、財政の厳しい地方自治体が、財政負担を軽減することを主目的に行われてるものが多いです。

出所:株式会社民間資金等活用事業推進機構HPより

従来型公共事業ですと、地方自治体の自主財源・地方債・国の補助金を原資に完工時までに全額支払うことが一般的ですので、単年度の財政負担が大きくなります(左側参照)。

然し、PFIを採用すると、施設整備コストを割賦払いできるので、事業費が平準化されて、単年度の財政負担が軽減されます

日本は高度経済成長からバブル前後に整備された公共施設が多いので、施設の建替えや大規模修繕が必要なタイミングが、2020年代~に集中していますので、この手法を使えば、地方の財政問題を救えると思っていました。

釧路市も公共施設のライフサイクルコストが一定期間に集中(平成35年が2023年)
「釧路市公共施設等総合管理計画」より筆者作成

釧路市の場合は、「優先的検討規程」(※)がないので、学校給食センターや火葬場など、恐らく国からの補助金を組み合わせて公共事業で整備してしまったのだろうと思います。

PFIを検討しなければならない対象事業
「内閣府民間資金等活用事業推進室HPより」

(※)総事業費10億円以上、単年度運営費1億円以上の事業は、当該事業がPFI方式と従来型公共事業、どちらを採用すべきかを検討し、PFIを採用しない場合はその理由を公開しなければならないという規程。地方公共団体が国の指針に従って定めている。人口20万人以上の自治体を対象にされていたため、釧路市は策定していないが、近年、人口10万人以上の自治体にも策定が求められている。

従来型とPFIの違い

また、複数業務を性能発注・包括契約で行いますので、設計、建設、維持管理、運営を個別に発注・契約するよりも、効率化が図られますし、全てをリンクして計画することができますので、利便性も向上するのです。

問題提起:PFIは財政負担軽減の本質的な解決になっていない

実は私もつい最近までこれ凄く良い事業方式じゃなないかと思っていたのですが、前段の事業費の平準化の話。クレジットカードのリボ払いっぽくないですか?(下図)

しかも、15年とか20年という長期の元利均等払いになりますので、図では現れていない金融コスト(金利、融資組成手数料、エージェント手数料)が発生し、更にPFI事業を行う特定目的会社(SPC)を設立・管理・運営するコストも発生します。これらが15年や20年という長期で発生しますので、累計の金額は億単位になります。

従って、図ではそのまま割賦払いしているように見えますが、実は金融コスト等の余計なコストが発生するので平準化はできても果たして財政負担の軽減ができるかまでは言えないんですよね。

VFMの説明
「株式会社民間資金等活用事業推進機構HPより」

一応、VFMという指標があり、より低廉なコストで価値の高い公共サービスが提供できるかを測ることができるのですが、国が実施するPFIでは、効果を疑問視する例も見られます。

国からの補助金を当てにしている例(社会資本整備総合交付金の配分において、、「都市再生整備計画事業」として基幹事業に位置づけられる事業をPPP/PFI方式で行うことで同交付金の重点配分事業となる)もあり、これでは現在のツケを後世に先送りするような構造からは脱却できていないのでは?と思っています。

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