エネルギー
秋近し尽くす尽くすと鳴く虫は羽音もさせずぽとりと落ちる
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蝉の声も聞こえなくなるかわりに、たぶん草の間にいるだろうこおろぎとか鈴虫とか名の知れたのじゃない虫々の声がし始めた。
ツクツクホウシの声を聞かなくなってどれぐらいになるんだろう。
子どもの頃は、祖父母の家でよく聞いたけど。
この辺りから居なくなったのか、単に自分の耳がそちらを向いていないだけなのかも知れないし、彼らが棲む地域を変えたのかもしれないし。
夏の恋は秋に終わるってのが、その昔は定番のように言われたけど、今はそんなことないのかな。
お出掛けもしにくいから新しい出逢いも少なくなってるのかな。
非日常でキラキラ輝いて見えて大事に撫で摩りしてたものも日常になった途端価値をうしなう。
それを追いかけるのは切ないね。
それに縋る身は見苦しい。
秋は飽きに繋がって…なんてことを考えてたら、ツクツクホウシの鳴き声が尽くす尽くすって思えてきて…最近鳴き声を聞いてないなぁと思った次第。
鳴いてることにも気づかれずに落ちるのは悲しいね。
尽くすってなんたんだろうね。
力を出し切るって意味らしいから、中から外へ向けてのエネルギーってことなのかな。
だとしたら、放出する方法や先を間違えないようにしていかないと、大きな空回りになる。