「ビーアウトオブデンジャー」第六話
家に着いたのは朝方の五時です。玄関を開けた途端、家の奥からオレンジ色の匂いが漂ってきました。「トントントン」と規則的な音が遠くから聞こえてきます。私は急いで靴を脱ぎ、揃え、リビングへと向かいました。
「蛍光灯の色、変えたんだね。」
「そう。だって、この色ずっと嫌だって言ってたでしょ?」
「うん。こんな時間から料理?」
「作ろうと思って。」
台所に立つ母の背中が小さく丸く見えました。「トントントン」と子気味良い音がリビングに響き渡ります。
「こんな時間まで何をしてたの?」