O.C

2021年12月で登録10年を迎えた弁護士です(第二東京弁護士会所属)。5年間の法律事務所での執務を経て、現在は組織内弁護士として活動しています。自分自身の知識を整理のために企業法務全般についての考えやノウハウなどを発信していきたいと考えています。

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2021年12月で登録10年を迎えた弁護士です(第二東京弁護士会所属)。5年間の法律事務所での執務を経て、現在は組織内弁護士として活動しています。自分自身の知識を整理のために企業法務全般についての考えやノウハウなどを発信していきたいと考えています。

最近の記事

法務パーソンがプログラミングを学ぶ

業務の自動化とプログラミング思考 法律事務所からインハウスに転向してしばらく経ちますが、感じることは、法律知識の不要な事務作業がけっこう多いということ。毎日、契約審査や他部署からの法律相談に対応するなかで、企業人として仕方がないと思ってやっている自分がいます。 情報通信業の会社に勤務しているということもあり、社内エンジニアと会話する機会がとても多いのですが、私は、システムのプロである彼らをとても尊敬しています。というのは、彼らは、ルーティンのつまらない業務があれば自動化し

    • SES契約で開発遅延を理由に代金の支払いを拒めるか?

      SI企業の法務担当者は、契約書のレビューばかりしていると思われるかもしれませんが、裁判前の交渉段階である開発トラブルにもたびたび関与します。 どんなに丁寧に契約レビューをしても、開発トラブルは不可避的に起こり、残念ながら契約書でリスクヘッジできる場面はそんなに多くないのが現実です。かといって、開発トラブルの多くが裁判に発展しているかといえば、そうではありません。裁判に至る案件は極めてわずかです。 裁判にならないとしても、契約や法律の知識は、企業間交渉においてトラブルを解決

      • プログラム、データと法律用語あれこれ入門〜その2〜

        前回に引き続き、プログラムやデータについて法律用語との関連性を整理してみます。 これまでの復習と再整理前回は、一般法である民法における電磁的記録の概念と、著作権法における「プログラム」の定義を若干検討しました。 著作権法におけるプログラムの定義は、以下のとおりでした。 プログラムとは、電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう。 著作権法におけるプログラムでは、一般的なプログラムの構成要素に加えて、

        • プログラムとデータと法律用語あれこれ入門〜その1〜

          「弁護士さんって、六法全書を全部覚えているんですか?」と、年に1回は聞かれます。弁護士あるあるだと思っていますが、まぁ全部覚えることは不可能ですね。 とはいうものの、弁護士の仕事は、クライアントから話を聞き、法律を適用して結論を出す仕事ですから、話を聞いたときにどの法律が問題になるだろうか、ということは意識的に考えているものです。 慣れてくると過去の経験から即座に回答できるときもありますが、未知の領域の場合には調べなければなりません。わからない点を調べることに個人的にはワ

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        • SES契約で開発遅延を理由に代金の支払いを拒めるか?

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          休職制度についての整理メモ

          先日、休職命令の発令の可否について法務意見を求められました。この機会に休職に関して整理メモを書いてみたいと思います。 情報・通信業などのデスクワーク中心の会社ではどこも同じかもしれませんが、従業員の休職事由はうつ病などの精神疾患が大半を占めている印象があります。 統計は詳しく調べていませんが、感覚的には裁判などで争われるケースはごく一部で、ほとんどのケースでは、主治医から診断書が提出され、産業医からも休職相当の意見が付されているなかで本人も納得の上で休職に入るパターンが圧

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          契約書の一般条項を理解する〜合意管轄〜

          以前、企業法務を始めたばかりのスタッフから合意管轄について質問を受けました。あれこれ教えてみたものの、わかりやすく伝えることはとても難しいですね。 いざ教えてみると自分の理解が不十分であったことに気付かされ、備忘のために記事を書いてみます。 契約条項の具体例 契約書でよくみかける合意管轄は、万が一、契約書に関して紛争が起こった場合に訴訟を提起する裁判所について合意する条項です。たとえば、以下のような条文です。 第XX条(合意管轄) 本契約に関する甲乙間の訴訟の第一審の専

          契約書の一般条項を理解する〜合意管轄〜

          システム開発契約まわりの業界慣習を知る

          初めてシステム開発業界の案件に携わる法務担当者向けに、この記事を書きました。思えば、私が企業内弁護士として入社した当初、この業界の慣習に驚く場面もありました。 なんとなくシステム開発における業界慣習のイメージができると幸いです。 システム開発契約における契約の構成は3つ どの業界であっても業務委託契約書を交わす場面はあります。契約書のタイトルが業務委託契約であったり、コンサルティング契約であったりと業界によって使われている言葉はさまざまです。 システム開発の業界でも、業

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          企業内弁護士に関する弁護士職務基本規定

          法律事務所から企業へ 月日が流れるのは早いもので、法律事務所の弁護士から企業内弁護士に転向してから5年が経過しました。法律事務所のいたときは、顧問企業や個人のから相談を受け、ときには訴訟を提起したりといろんな案件に関与してきました。 個人の方にとっては、弁護士に依頼するなんて一生に一度あるかどうかです。そのような人生のターニングポイントに関わるというのは、かなり緊張感を伴う仕事だと思います。 弁護士職務基本規定 企業内弁護士は、そのような法律事務所の弁護士を辞めてサラリー

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          弁護士が契約書を作成するときに意識していること

          はじめにタイトルが何やら仰々しいのですが、きっかけは同僚からアドバイスを求められたからです。考えてみると弁護士になるまでの過程に答えがあるような気がしました。 弁護士になるためには司法試験に合格しなければなりませんが、司法試験に合格するためには、徹底的に民法を学ぶ必要があります。さらに司法試験に合格した後は、裁判実務を学び、民事では要件事実という法技術を学ぶことになります。 実は、この学習の過程が、契約書を作成するときに弁護士が意識的に表現や言い回しを工夫していることにつ

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          システム開発契約における請負契約と準委任契約の適切な選択

          SI企業に身を置いて仕事をしていると、毎日のようにシステム開発契約をレビューし、システム開発がらみのトラブルに対して法的な見解を伝えて交渉のアドバイスする場面に直面します。 身も蓋もない話ですが、システム開発契約書がトラブルの解決に役立ったとか、契約書に適切な加筆修正を加えたことでリスクヘッジにつながった、という実感がほとんどありません。 とはいうものの、高確率でトラブルに発展するやってはならないことは、いくつかあります。ここではその一つを紹介して、無用なトラブルを回避し

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          秘密保持契約で損害賠償の責任限定条項を盛り込むべきか?

          はじめに 普段、企業法務をしていると、秘密保持契約をレビューする機会がとても多いです。新人の法務担当者は、最初に秘密保持契約書をレビューして契約審査のデビューを果たす、といっても言い過ぎではないかもしれません。 秘密保持契約書は、英語で「Non-Disclosure Agreement」といい、通称NDAと呼ぶことが多いですね。この記事でもNDAと書くことにします。 秘密保持契約の存在意義 日本語に直訳すると非開示合意ですが、そもそも自らが手に入れた情報は、法に触れない限

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          組織再編に伴う契約の締結の要否

          今回は、ごく普通の契約ドラフトに関するお話です。現場の担当者から、ある取引先が組織再編により名称を変えたので何か覚書とか取り交わした方が良いか?という質問を受けました。 取引先が組織変更などをすることによって、再度、契約を取り交わす必要があるか、若干、整理してみたいと思います。 取引先が名称を変更したときは常に契約書を取り交わす法人の同一性に変更がないときや、法律によって権利義務が承継されるようなときには、再度、契約書を交わさなくて良い、この回答は法務担当者としては正しい

          組織再編に伴う契約の締結の要否

          秘密保持契約に暴排条項は必要か?

          先日、法務スタッフに取引先から提示された秘密保持契約のレビューをお願いしたところ、反社会的勢力の排除条項が入っていませんが修正すべきでしょうか?と相談にやってきました。 どう思う?と切り返したところ、「うちは上場企業で暴力団排除の方針を掲げているので、暴排条項は必要だと思います」とのこと。はたして秘密保持契約には本当に必要なのでしょうか? 反社会的勢力排除条項とは?まず、反社会的勢力とは、暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロまた

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          企業内弁護士が考える法律事務所選びのポイント

          普段、考えていることをとにかくアウトプットしようと決めてから3日目になりました。所属している会社でマネジメントに携わるようになってから、本当に書く機会が減ったと実感しています。 さて、今回は企業内弁護士が法律事務所を弁護士の方々を見ているポイントについて書いてみようと思います。 弁護士と企業内弁護士 法律事務所にいた頃は、同僚の弁護士と「あの顧問先の担当者さんとはちょっとやりにくいな」とか、「あの担当者は社内調整が素晴らしいね」などと話をしていたこともありました。とはいう

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          企業内弁護士による株主優待の法的考察

          株主優待制度の法的問題 世の中に広く浸透している株主優待制度ですが、公刊文献などでは、会社法の観点から株主平等原則や利益供与、配当規制の論点として多く取り上げられています。 たとえば、株主優待による乗車券の配布が違法配当にあたるとした判例として平成2年3月28日高知地方裁判所判決がありました。 ただ、この事案では、長年無配当が続いている鉄道会社で、持株数に対して一定の割合で比例して無料乗車券が配布されている株主優待制度でしたので、現物配当の色彩がより強いものだったと推測され

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          業務委託契約書における損害賠償の責任限定条項について

          業務委託契約とは 企業法務の担当者の方は、どのような業種であれ業務委託契約のドラフト・レビューを行った経験があるかと思います。M&Aアドバイザリー契約、コンサルティング契約、システム開発委託契約などは、いずれも業務委託契約です。業務委託契約は、自らの「業務」を相手に「委託」して代わりにやってもらい、その対価として金銭などを支払う契約です。 SI業界では、日常、システム開発委託契約を交わします。ユーザ(委託者)がベンダ(受託者)にユーザのシステム開発を委託する契約です。業務委

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