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WE Run | Write, Eat, Run

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私たちが(そして誰かが)走り続けるためのリレーマガジン
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#ランニング

はじめましての方へ、おすすめの記事。1-100記事篇

■はじめまして  『WE Run』は、“私たちが(そして誰かが)走り続けるためのリレーマガジン”というコンセプトのもと、走るをテーマに綴っていく共同運営形式のマガジンです。   “Write, Eat, Run”という3つのキーワードから生まれたマガジン名が象徴するように、書くことを通じて走ることについて考え、食事を楽しむように走ることを楽しもうとするメンバーが、書き手として参加しています。   目指すは、“読み終わったら走り出したくなるwebマガジン”。距離やペースにと

シラスを踏みつけて走る、南九州の旅

2024年11月6日。 私は鹿児島中央駅のホームに立っていた。 この旅の目的は、この週末に熊本県五木村で開催される秋祭りに出店することなのだが、仲間たちとは鹿児島空港で待ち合わせてレンタカー相乗りで向かう予定になっている。せっかくの機会なので、早めに鹿児島に乗り込み観光をしようという算段だ。 本来なら今頃、宮崎県都城市にある『霧の蔵ミュージアム』で、かの有名な芋焼酎『黒霧島』の工場見学と試飲をしているはずだった。なにしろ私、家ではほぼ黒霧島しか飲まないほどのヘビーユーザー

番外地で体力の限界まで走る " 旅先で『日常』を走る ~spin-of㉗~ "

【あらすじ】 3泊4日の道東旅に出た私は、釧路空港からレンタカーで鶴センター・阿寒湖・根室・宗谷岬・知床(観光船欠航)・北見と移動した。 ↓ 前編はコチラ ↓ * 2024年9月29日、日曜日。 北見の宿を朝6:30にチェックアウトし、向かう先は網走。今日は『オホーツク網走マラソン』を走るのだ。しかもフルマラソンを! ナビを頼りにしてレンタカーを走らせる。日曜日の早朝で車がほとんど走っていない北見駅前を抜けてしばらく進むと、信号待ちでいかにも「これからマラソンに向か

北方領土を視界にとらえながら走る " 旅先で『日常』を走る ~spin-of㉖~ "

日本全国を旅してまわり47都道府県すべてで走る経験を積んだ私にも、訪れたことがない土地はまだたくさんある。特に北海道はあまりにも広大で、また往復にかなりの時間とお金を要することもあって、函館から札幌の道南エリアと去年初めて訪れた稚内から旭川の道北エリア以外は未だ未踏であった。 もっといろいろなエリアを訪れてみたいのだが、なにか口実を設けないとなかなか足を運ぶことは難しい。そこで、今回は私が趣味としているランニングをからめた旅程を組んで、道東エリアに足を踏み入れることにした。

離島で『夕暮れ』を走る " 旅先で『日常』を走る ~spin-of㉕~ "

【前回のあらすじ】 水俣で『屍』を走る " 旅先で『日常』を走る ~spin-of㉔~ " " 一歩一歩踏みしめているこの足元には、メチル水銀にまみれた土壌やヘドロと魚たち。そしておそらく踊りながら海に落ちた猫たちの骨も山ほど混ざっているのだろう " * 2024年8月24日。土曜日。 いよいよ本日の夕方に迫ったハーフマラソン大会に備え、私は前泊地の熊本市内から長崎五島列島へと向かっている。 まずは熊本駅から九州新幹線で新鳥栖駅へ。ここで西九州新幹線に乗り換えたいとこ

水俣で『屍』を走る " 旅先で『日常』を走る ~spin-of㉔~ "

2024年8月22日(木) 。 羽田空港から飛行機に乗って、熊本空港に到着したのは10:00の少し前だった。 遅めの夏休みを取り、今日から3泊4日で九州を旅するのだ。目的地は五島列島の福江島。土曜の夕方に開催される『五島列島夕焼けマラソン』にエントリーしているので、これから2日半かけてあちこちに寄り道しながら向かっていく算段を立てている。 『ククルレンタカー』というはじめて聞く名の業者で、製造から20年くらいは経過していそうな日産マーチを調達した。さっそく、この旅最初の目

発酵にまみれたハーフマラソンを走る

2024年5月19日(日)、午前9時。 早起きして自宅から2時間40分かけて、JR成田線の下総神崎駅に到着した。 改札口を出て、人並みの後ろについて歩みを進めていく。 今日は、この地で『千葉県誕生150周年記念事業 第3回神崎発酵マラソン』に参加するのだ。 沿道にある商店跡とおぼしき建物のガラス越しに猫の姿を眺めながら、 20分ほどで会場に到着した。 さっそく着替えを済ませて荷物を預け、会場となっている『神崎ふれあいプラザ』のグラウンド上に軒を並べているテントの下で

延伸した北陸新幹線に乗って敦賀の友と邂逅し、能登でボランティアをする旅(合間にちょっと走る)

2024年3月30日 午後4時すぎに、私は出張先の長野駅から北陸新幹線に乗り込んだ。ここから、一週間ほど前に延伸したばかりの終点の地「敦賀」に向かう。 明日の朝から『ふくい桜マラソン2024』に参加するので、福井県内に前日入りするのだ。 敦賀駅に到着したのは、午後6時すぎ。5度目の来訪になるが、もちろん3階に新設された新幹線ホームに降り立つのは、今日が初めてである。 2階に降りて、在来線との乗り換え改札を抜ける。どうやら新幹線構内から直接外に出る術はないようだ。 在来

瀬戸内で『夢の中』を走る " 旅先で『日常』を走る ~spin-off㉒~ "

2024年3月9日、土曜日。時刻は午前6時を少し回ったところだ。 私は東京駅から高速バスの深夜便に乗って、岡山駅前に到着した。 この旅の目的地は、明日の午前中にハーフマラソンを走る瀬戸内海の「ゆめしま海道」だ。しかし、ここから直接向かうわけではなく、一旦四国入りしていくつかの途中下車を経てから、明日の朝に現地に到着する旅程を組んだのだ。 せっかくの遠征なので、少しでも多くの場所を訪れてみたいではないか。駅前で朝マックのブレックファーストを摂り、さっそく四国への移動をはじ

紀伊半島で『ワーケーション』を走る " 旅先で『日常』を走る ~spin-off㉑~ "

2024年。今年は毎月どこかでマラソン大会に参加しようと意気込んで、すでに上半期の分はすべてエントリーを済ませた。マラソン大会とはいっても、私が主にエントリーするのはハーフマラソンの部ではあるが。 1月の八丈島に続き、2月は和歌山に遠征することにしていた。11月ごろから仕事が立て込んで忙しく日々を過ごしていたので、絶好のリフレッシュ休暇になる。はずだった…… 年明け早々、和歌山市での空き家再生プロジェクトに伴う「発酵酒場」のメニュー開発を引き受けることになった。これが思い

東京マラソン2024参加記

17回目にして、東京マラソンに当選。完走してきた。 フルマラソンは3回目。調べると、前回、前々回はどちらも2016年だったらしい。あの頃は、まだ30代中頃で若かった。今のように日常的にランニングなどしていなかったが、ふと「フルマラソン出たことねぇなぁ」などと思いつきで参加したのだろう。しかも初参加は「掛川・新茶マラソン」だった。何かしらの事情によって現在中止されているこのマラソンは、アップダウンが激しく、日本屈指の過酷なコースと言われる。覚えている。確か前半に急な下り坂があ

走るため フェリーで行って 飛行機で 帰る場所でも 東京なのだ “ 東京そぞろ走り #8 ”

2024年1月6日、土曜日。時刻は22時を回ろうとしている。 私は港区にある竹芝客船ターミナルに到着した。 これからフェリーに乗る予定なのだが、まだ切符も購入していない。お目当てのフェリーはすでに接岸しており、乗船手続きも始まっている。まずは切符売り場に急いだ。 「八丈島まで1枚」。受付で伝える。早く乗りたいので、早く売ってくれ。「あちらで乗船票にご記入の上、乗船口に進んでください」 切符の右側に付いている乗船票に個人情報を記入し、乗船口に急ぐ。なんとか出航5分前に乗

西の果てを走り、鯵を食べつくす九州旅 " 旅先で『日常』を走る ~spin-off⑳~ "

2023年11月8日。午後3時。 私は高速バスと新幹線・在来線特急を乗り継いで、長崎県の佐世保駅にたどり着いた。 今日と明日は、地方出張の合間にできた休日なのだ。 -- 今回の出張、最初の目的地は熊本県五木村。最近、ついに人口が1,000人を切ってしまったという、九州で最も人口が少ない自治体である。 この村で生まれ育ち、進学で五木を離れたが社会人として東京で3年勤務した後にUターンして、村の活性化に尽力しているTさんという方がいる。彼女の招きで、というか「一度現地を

ニッポンの最北端を走る " 旅先で『日常』を走る ~spin-off⑲~ (後編)"

前回のあらすじ ~ ニッポンの最北端を走る(前編) ~ " ここ北限の地で走るという数年来の悲願を満たしにはるばるやってきたのだ。さっそく走ろう! "  * 稚内からJR特急に揺られて4時間、終点の旭川に私は到着した。 齢50にして旭川に初上陸した。 駅を出るとまっすぐに、道幅の広い目抜き通りが広がっている。 多くの地方都市では、このような通りの先にはお城が鎮座しているのだが、ここは北海道だ。お城など存在しないし、この道も明治時代の開拓によって作られたのだろう。