認知症予防にも期待!二重課題運動『シナプソロジー®』の効果を検証
シナプソロジー®の効果について、
少し詳しく深堀りしていきましょう。
この記事では、筑波大学の研究をベースに、
シナプソロジー®と呼ばれる「二重課題運動」が
高齢者にどれだけ効果的か、
そしてどのように進められたのかを解説していきます!
そもそもシナプソロジー®って何?
シナプソロジー®は、「じゃんけん」や「ボール回し」などの
シンプルな動きと脳を使う課題を組み合わせた運動です。
「二重課題」とは、体を使う動きと脳を活性化する課題を
同時に行うことを指します。
シナプソロジー®は、単に動くだけでなく、
脳にも刺激を与えることで、
体も心も活性化させる新しいエクササイズ方法です。
研究によると、シナプソロジー®を高齢者が行うことで、
身体機能の改善だけでなく、認知機能も向上するという
驚くべき効果があるそうです。
この運動は、特に運動習慣が少ない方でも
楽しみながら行えるように設計されており、
週に数回のトレーニングで、
認知症の予防に役立つ可能性もあるとされています。
方法のポイント:8週間で見えた変化
さて、この研究では70歳前後の高齢者24名を対象に、
シナプソロジー®の効果を検証しています。
まず参加者を二つのグループに分け、
一方には8週間にわたって、週2回・各60分の運動を
行わせました(これを「実施群」と呼びます)。
もう一方は、運動を行わない対照群です。
運動の頻度は週2回というちょうど良い頻度で、
無理なく取り組めるようにデザインされています。
ここでの評価ポイントは、
身体機能と認知機能にどう変化があったかです。
以下の3つのテストが用いられました。
TUGテスト(timed-up-and-go):日常生活での移動能力を評価するテストです。例えば、椅子から立ち上がり、歩行、方向転換する能力が測られます。
25穴トレイルメイキングテスト:ランダムな位置に並んだ25の穴に、番号順に棒を差し込んでいくテストです。脳の認知能力や反応のスピードが試されます。
d-ROMsテスト:酸化ストレス度を測るテストです。酸化ストレスは、体の老化や病気の原因とされており、健康を保つためには抑えておきたい指標です。
実施群の成果:改善が見られた!
8週間のシナプソロジー®実践後、
実施群はTUGテストと25穴トレイルメイキングテストでの
スコアが改善しました。
一方、対照群はほとんど変化が見られませんでした。
運動を行ったグループだけが、
体と脳の両方で良い変化を見せたということです。
d-ROMsテストでも酸化ストレスが改善し、
日々のストレスの軽減にも役立っているようです。
シナプソロジー®の可能性:社会でどう活かせるか
この研究結果を見て分かる通り、
シナプソロジー®はただの「体操」ではありません。
体と脳を同時に鍛えることで、
健康維持のための大きな可能性を秘めています。
特に、認知症予防に効果が期待される点が注目ポイントです。
さらに、集団で行うことができるため、
地域のコミュニティや介護施設などで導入すれば、
多くの高齢者が楽しく参加でき、健康管理に役立つことでしょう。
結論
シナプソロジー®は、週にたった数回で
実施可能なシンプルな運動ですが、
体と脳の両方に大きな効果をもたらす
ことが示されています。
今後、自治体や地域コミュニティで導入されれば、
多くの高齢者がこの運動を通じて、
体と心の健康を保つ手助けになるかもしれません。
※シナプソロジーⓇは株式会社ルネサンスの登録商標です
タイトル: Evaluation of beneficial effect of a dual-task exercise based on Japanese transitional games in older adults: a pilot study
著者: 尹之恩 (Jieun Yoon), 磯田裕子 (Hiroko Isoda), 大倉智博 (Tomohiro Okura)
掲載誌: Aging
発行日: 2020年10月15日
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