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最近の読書記録:2025年1月

こんにちは。Nyupyです。

2025年が始まりました。
1月は家族との予定があったり、旅に出たりしていたので読書量は少な目だったので1か月分の読書メモになっています。
今年も旅をしたり、本を読んだり、ミュージアムめぐりをしたり、おいしい珈琲を飲んだり、気ままに暮らせると嬉しいなと思っています。

今回はジャンルを広げて読んだのが解る読書メモ。
心が疲れているときは新しいジャンルに手が伸びないので、心が豊かだったんだろう。
読書ジャンルが広がると思考の幅も広がって、考えが柔軟になるのだ。

2025年1月に読んだ本

『東京都同情等』 著:九段理江 

おすすめ度:★★★★☆
勝手に本の帯コメント:現代社会の違和感が凝縮

2026年と来年が舞台になった近未来小説。
こんな世界になって欲しくないと直感的に思ってしまった1冊。
AIとの対話は面白いけど、現在のAIは知ったかぶりをすることにも気づいたからAIの言葉の重みはどんどん軽くなってきているよね。
だけどお話の主人公の牧名沙羅は言葉に拘り、世の中の言葉よりもAIの言葉や対話に安心感を覚えているようだった。言葉に拘ることで自分自身との対話の深みに沈んでいくように。AIやAIに似たタクトとの会話はあるけどそれは牧名沙羅には全く影響していないように感じてしまう。
読みながら自分の心の奥と対話しているような不思議な読書体験をしてしまった一冊でした。


『世にも美しき数学者たちの日常』 著:二宮敦人 

おすすめ度:★★★★☆
勝手に本の帯コメント:ピュアで幸せな数学者たちの生活を覗き見

数式の美しさにこだわる数学者たち。
中学生のころブルーバックスシリーズにハマり、ブルーバックスで読んだ数学者たちの世界に憧れたなぁ。数学好きから数学愛まで高められず、数学を周辺から楽しんでいた私にとって、現実の数学者の生活はとても興味深い。
数学の美しさに魅了され、数学に愛された人たちが数学者になれるのだと思う。たぶん古代ギリシャの数学者とも会話できる人たち。
こんなに好きなことに純粋に向き合え、仲間と高め合える人たちの幸せそうな生活は見ていて楽しくなってしまうのだ。


『朽ちないサクラ』 著:柚木裕子 

おすすめ度:★★★★☆
勝手に本の帯コメント:友人の死が導く組織の闇と冷酷な現実

警察事務官が友人の死の真相を探る中で警察の闇に気づいてしまう。
話の展開は面白く、ワクワクしながら読み続けてしまった。
しかしカルト教団が出てきたので少し興醒め。ミステリーのストーリを考える中でカルト教団は安易だと思っている。「信仰心」という動機でなんでもやらせることができるから。とても面白い小説だけに安易な方法に帰属させて欲しくなかったのが本音。ワクワクするお話だっただけにちょっと残念。


『月下のサクラ』 著:柚木裕子

おすすめ度:★★★★★
勝手に本の帯コメント:組織の闇はどこにでもあるが、信念はそれに光を当て太陽の元にさらすのだ

「朽ちないサクラ」の続編
警察の一般職員から警察官になった泉は、刑事になる目的のため語学やITスキルを習得し捜査支援分析センターに配属される。配属試験も実技で落第するも記憶力スキルと信念に期待され、黒瀬に引き上げられる。
物語は警察内部で起きた大金紛失事件に発端し、警察組織を揺るがす大きな事件へと繋がっていく。
フィクションだとわかりつつ、警察内部の金品や情報の管理体制に驚気が隠せない。これが取材から得た情報だとすれば、小説と同じような事件は多発しそうだなぁ。
そう思いつつ、物語の世界に引き込まれ、ノンストップで読んでしまう面白い一冊だった。おすすめです。


『終止符のない人生』 著:反田恭平

おすすめ度:★★★★☆
勝手に本の帯コメント:普通の感覚を持った常識に捕らわれないクラッシック革命児の思考

当事者しか語ることができないショパンコンクールの裏側や心理状況、そして戦略について知ることができとても興味深かい一冊。
ピアニストはピアノにストイックで世間知らずなイメージを持っていたんだけど、反田さんは良い意味で社会性があり世間を良く知った人なのだろう。ビジネス感覚も持っていて、こんな人がクラッシックを日常に普及できるのだと思った。
最もチケットが取れないクラッシック演奏者らしいけど、コンサートに行ってみたいな。


『まんがでわかる!マルクス「資本論」に脱成長のヒントを学ぶ』 監修:齋藤幸平+NHK「100分de名著」制作班

マルクスはなぜ読み継がれているのか?を知りたいと思って手に取った1冊。
マルクスの資本論について書かれた1冊。100分de名著の書籍化である。
入門書として読み始めたんだけど、読み進めていく中で理性では納得できる部分もあったけど「必要なもの」と「売れるもの」の違いなど、欲望といつ人間の本質的な部分で破綻しているように感じた。
「必要なもの」と「売れるもの」を区別して書かれていたが、「売れるもの」の大半が「必要なもの」なのだと思う。より美味しい食料品、心地いい生活雑貨、安全で快適なインフラなどが「必要なもの」だ。それ以外の「必要だけど過剰なもの」を「売れるもの」と定義するのは乱暴に感じる。
人間の五大欲求の生理的欲求・安全欲求・社会的欲求を確保するためであれば「必要なもの」だけで良いのだが、それが充足してくると承認欲求が生まれ「必要なもの+α」のものが欲しくなる。つまり人との違うもの=人から違うものとして承認されるものが欲しくなるのだ。それが売れるものになるのだ。人間の欲求を無視した論理が世間に広く受け入れられるとは思われないのだが・・・
イノベーションが人から働き甲斐を奪うというロジックも破綻しているように感じたのは、私がイノベーションを目指して仕事をしてきた研究者だったからなのだろうか?
人はそれほどバカではないはず。人の役に立つ事や新しい価値を生み出す事から得られる達成感無しにはイノベーションを目標にし続けられないだろう。イノベーションは成功確率の低い仕事だから、ゴールに夢を描かないと継続することは難しいことは経験済みだから。
こうして、本の内容について否定的な意見を並べるのは本意ではない。
マルクスは資本に支配されることからの脱却を唱えていたのではないだろうか?
生理的欲求・安全欲求を確保することで、社会的欲求や承認欲求について主体性を持つ事を伝えたかったのではないだろうか?
一冊の本でマルクスの資本論を決めつけてはいけないだろう。もう少し違う視点でマルクスを理解してみたい。


『君を守ろうとする猫の話』 著:夏川草介

おすすめ度:★★★★★
勝手に本の帯コメント:君が大切にしている事は何?

「本を守ろうとする猫の話」の続編のモモをオマージュしているかのようなお話。
本を守りたい心は同じで本や出版業界が抱える課題をファンタジーで書かれている。猫の正体は夏川先生そのものなのではないだろうか?夏川先生が危惧している課題を読者(君)に解決して欲しくて、読者(君)にも同じ課題を持ってほしくて書いたように感じた。
私は本が好きで子供の頃から多くの本に触れてきたけど、心を豊かにするのは本だけの特性ではないと思っている。人の心に響く本はたくさんあるが、マンガもアニメも映画もたくさんある。大切なのは自分以外の思考に触れる機会(本、マンガ、アニメ、映画などなど)で、それが想像力を膨らませて相手を思いやることに繋がるのではないだろうか。


『老害の人』 著:内館牧子

おすすめ度:★★★★★
勝手に本の帯コメント:加齢を毒にするのか、薬にするのかを私たちに突きつける

内館牧子さんの高齢者三部作「終わった人」「すぐに死ぬんだから」「今度生まれたら」
老害について改めて考えさせられる一冊。
85歳の福太郎の娘の明代の視点が多いが、三人称で語られている。
それにしてもこの話に出てくるジジババの自分語りは本当にうんざりする。身近な老人(75歳以上の後期高齢者)を見ても、同じような傾向があるのは否めない。今を生きておらず、昔の一番キラキラしていたと思っている時を思い出し、それを誇示(自慢?)することでマウントを取ろうとしてくる。
そのマウント必要?って思うくらいくだらないが、本人は必至だし誇張も多くなってくるので、近寄りたくないって思ってしまう。
このお話のように、自分たちで居場所とやりがいを見つけてくれると良いんだけどなぁ。


これまでの読書記録はこちらです
ご興味があれば読んでもらえると嬉しいです

https://note.com/nyupy/m/mb0bbaa53ed1d


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