【小説】名探偵の証明 (市川 哲也)

そのめざましい活躍から、1980年代には推理小説界に「新本格ブーム」までを招来した名探偵・屋敷啓次郎。
行く先々で事件に遭遇するものの、驚異的な解決率を誇っていた。
しかし時は過ぎて現代、ヒーローは過去の事件で傷を負い、ひっそりと暮らしていた。
そんな彼を、元相棒が訪ねてくる。
資産家一家に届いた脅迫状をめぐって若き名探偵・蜜柑花子と対決から、屋敷を現役復帰させようとの目論見だったのだか...というお話。

推理モノというより、1人の探偵の生き様を描いた作品と思ってみれば得心がいく。

とりま簡潔に取りまとめていくと...
伝説の名探偵も老いて、体力も知能も衰えていく。
まわりには比較対象の名探偵アイドル、昔の自分に羨望を向けるファンたち、かつての相棒である刑事、そして自分を心配する家族。
最後と決めて取り組む密室殺人も、解決に時間がかかり、限界を感じる本人。
そして引退。
しかしてもなお探偵の血が騒ぐ。

ある意味、名探偵という立場が超能力を持った人間の様に描かれているような気がする。
『大いなる力には、大いなる責任が伴う』ってやつだ。
だけどもちょっとその力というものに説得力というかインパクトを感じなかったかなぁ私的には。
なんなら、どこぞのハードボイルド小説なんかの方が生き様を感じさせてくれる気がするんだよなぁ。

「タフでなければ生きて行けない。 優しくなれなければ生きている資格がない」
「さよならをいうのは、少し死ぬことだ」とかね。
ベタ過ぎかな？
流石に。

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