桃の効用
梅は、初春の訪れを感じさせるおめでたい花。
桜は季節が本格的に春を迎えたことを現す花。
そして、梅と桜の間に咲く桃は、魔除けや長寿のパワーがあると言われています。
日本最古の書物である「古事記」には桃が登場します。
イザナギという神様が、死者の世界である黄泉から脱出する際、追ってくる魔物に3つの桃を投げつけたら、魔物は、尻尾を巻いて逃げ帰ったそうです。
ここから「桃=魔除け、邪気を払う」とイメージができて、桃の実は「オオカムヅミ」と神名が授けられ、神様になったそうです。
写真は、厄除けで有名な京都の晴明神社の「厄除桃」です。
2024年の新年から地震や日航機の事故などが立て続けに起こったので、参拝し、厄を撫でつけてまいりました。
では、本題で、桃の効用についてです。
桃の葉は日本では浴湯料としてよく知られ,刻んだ葉を風呂に入れて夏場のあせもや湿疹,かぶれなどに用います。
花や蕾は「白桃花」と呼ばれる生薬で、利尿にはたらく成分が含まれているため、利尿剤やむくみの解消、下剤として用いられています。
そして、種。
桃の中には、大きな種子のようなかたまりがありますが、種はその中にある白い部分で、「桃仁(トウニン)」と呼ばれる生薬です。
桃仁は、古くから咳止めの他、産後のむくみや月経不順などの婦人病の治療に用いられており、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)などの漢方薬に配合されています。
次に桃の実。
桃が出回るのは夏ですが、夏の食材には珍しく、桃は体を冷やすことはありません。
果肉には食物繊維も多く便秘の解消や整腸作用、疲労回復にも良いとされています。
ぜひとも、今年の夏は、まるで桃源郷にいるようなお気持ちで、桃を召し上がってくださいね。